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    R20法でタトゥー除去は早く終わる?同日4回照射の根拠と限界

    2026年8月31日

    Medical ColumnTokyo Ueno
    R20法でタトゥー除去は早く終わる?同日4回照射の根拠と限界

    レーザーを当てた直後、なぜ続けて照射できないのか

    タトゥー除去のレーザーを皮膚に当てると、直後にインクの部分が白く曇ります。これは即時白色化反応と呼ばれる現象です。白く曇っている間は光が散乱してしまい、続けて照射してもインクまで十分に届きません。そのため従来は、1回の受診で1回だけ照射し、6週間以上の間隔を空けて次の受診で再び照射する方法が広く行われてきました[3]。

    R20法は、この白い曇りが自然に消える点に注目した方法です。後の研究では、曇りが75〜100%消えるまでの時間は平均20分、範囲17〜22分と測定されています[2]。R20法では曇りが消えるのを20分待ってから同じ場所へ再照射し、これを同日中に合計4回繰り返します。待ち時間を受診の中に組み込むことで、1回の来院でより多くのレーザーをインクに届けようという発想です。

    原著研究はいつ、どんな条件で行われたのか

    R20法の根拠とされるのは、ギリシャの研究チームが2012年に発表した前向き比較研究です[1]。対象は健康な白人の成人12人が持つ計18個のタトゥーでした。内訳はプロの彫師によるものが8個、アマチュアによるものが10個で、面積は10〜150平方センチです。各タトゥーをほぼ半分に分け、片側には従来どおり1回だけ照射し、もう片側には20分間隔で4回照射しました。同じタトゥーの中で左右を比べる設計なので、肌質やインクの違いによるばらつきを抑えられます。

    使われた機器はQスイッチ・アレキサンドライトレーザーです。波長755ナノメートル、フルエンス5.5 J/cm2、パルス幅100ナノ秒、スポット径3ミリという条件でした[1]。効果の判定には、施術前と直後、3か月後に撮影した標準化写真を使っています。どちらの方法で照射したかを知らされていない皮膚科医2人が、独立して5段階で薄くなり方を採点しました。評価者に方法を伏せることで、思い込みによる採点の偏りを避ける工夫です。

    1つのタトゥーを左右半分に分割し、左側は1回照射、右側は20分間隔で4回照射する分割デザインの模式図。右側には20分間隔を示すタイムライン(照射→20分→照射→

    3か月後、どれくらいの差が報告されたのか

    3か月後の写真評価で、R20法を行った側では18個中11個、率にして61%が「96〜100%消えた」に当たる最高スコアに達しました[1]。プロによるタトゥーでは8個中5個(63%)が、途中で入れ直された3例を除いたアマチュアタトゥーでは7個中6個(86%)が最高スコアでした。そして全18個で、R20側の方が1回照射側より大きく薄くなっていました。

    平均の消退率で見ると差はさらにはっきりします。プロによるタトゥーはR20側88%に対して1回照射側18%、アマチュアタトゥーはR20側84%に対して26%でした[1]。入れ直しの3例を除いたアマチュアでは、R20側96%、1回照射側32%です。両側の差はプロで平均70ポイント、アマチュアで平均59ポイントあり、統計的にも意味のある差(P<.01)と報告されています。同じ受診日の中で比べる限り、4回照射の効果は一貫していました。

    横棒グラフ。縦に「プロによるタトゥー」「アマチュアタトゥー」「入れ直し除外アマチュア」の3行を並べ、それぞれR20側(88%・84%・96%)と1回照射側(18

    「通院回数が減る」とまでは言えない理由

    ここで注意したいのは、この研究が比べたものの中身です。比較されたのは「同じ受診日の中での4回照射と1回照射」であり、「1回照射を4回の別の日に分けて行う通常の通院」ではありません[1]。著者ら自身も、通常法を4回の別セッションで行った場合との比較は検討していないと明記しています。原著の数字は同日4回照射の効果を示すものであり、通院回数が何回減るかを直接示したものではないのです。

    参考になるのは通常法の実績データです。イタリアで352人を解析した観察研究では、6週間以上の間隔でQスイッチレーザーを繰り返した場合、除去に成功した人の累積割合は10回の施術後で47.2%、15回後で74.8%でした[3]。研究の設計が違うため単純には比べられませんが、通常法では10回を超える通院が珍しくない実態は分かります。R20法が実際に通院を何回減らせるのかは、両者を直接比べる試験の結果を待つ必要があります。

    上下2段のタイムライン図。上段は「同日4回照射(R20法)」として1日の中に4つの照射マークを20分間隔で並べる。下段は「通常法の通院」として6週間以上の間隔で

    皮膚への負担はどう報告されているか

    同日4回の照射は、皮膚への負担も1回照射より大きくなります。原著では施術直後の組織検査で、R20側により深い皮膚の傷害と、限られた範囲の表皮下水疱が確認されました[1]。肌の色が濃い被験者では、ごく限られた範囲の表皮壊死も記載されています。一方で、6か月間の追跡では瘢痕、いわゆる傷あとの報告はありませんでした。負担は大きいものの、この研究の観察範囲では跡が残る合併症は見られなかったということです。

    別の報告でも似た傾向が示されています。54歳男性1人のタトゥーをルビーレーザーで3等分して比べた症例報告では、同日3回照射した部位に軽い一過性の水疱が出ましたが、瘢痕などの元に戻らない合併症は観察されませんでした[5]。ただし原著の対象は白人12人で、インクの色は黒・緑・青に限られます。肌の色が濃い方や赤・黄などの色で同じことが言えるかは、個人差も含めて診察で確かめる必要があります。施術前に医師が肌質とインクの色を確認する意味はここにあります。

    待ち時間を短くするR0法と、その後の広がり

    R20法の弱点は、20分の待ち時間を3回はさむため施術が長くなることです。米国の無作為化比較研究では、R20法で4回照射した場合の総施術時間は平均68分、範囲64〜72分でした[2]。そこで検討されたのが、パーフルオロデカリンという透明な液体を塗り、白い曇りをすぐに解消して待ち時間なく重ね打ちするR0法です。同じ研究で未治療のタトゥー7個を半分ずつに分けて比べたところ、R0法はR20法と同じ程度の消退と評価されました[2]。1〜3か月後の平均消退度は51〜75%です。

    R0法はその後、インドの前向き研究で肌の色が濃いFitzpatrick皮膚型IV〜VIの22人、黒色のアマチュアタトゥーを対象にも検討されています[7]。また韓国の9人の症例集積では、ピコ秒レーザーで対象部位を4区画に分けて4つの照射法を比較し、修正R20法の区画が臨床評価で最も大きな改善を示し、組織検査でも真皮に残るインクが最も少なかったと報告されました[6]。同日に複数回照射するという考え方は、機器や手法を変えながら今も検討が続いています。

    R20法の約20分待機と、PFDで白い曇りを解消して再照射するR0法を比較した模式図

    専門家の評価と、これから除去を考える方へ

    2022年の系統的レビューは、7つのデータベースから3,037件の文献を検索し、36研究を採用してレーザー除去の各手法を比較しました[4]。著者らはR20法とR0法を、施術時間を短縮できる新しい手法と記載する一方、より明確な推奨を出すには追加の無作為化比較試験が必要だと結論しています。同日複数回照射は有望な選択肢ですが、証拠の積み上げはまだ途中というのが現時点の専門家の見立てです。

    そして大切なのは、どの方法が合うかはタトゥーの状態によって変わるという点です。352人の観察研究では、黒・赤以外の色、30平方センチを超える大きさ、足や下腿という部位、施術時点で36か月を超える古さなどが、レーザーへの反応の低さと関連していました[3]。R20法を含む照射計画は、医師が実物を診てから決めるのが確実です。除去を考え始めた方は、カウンセリングでタトゥーの色や部位を見せながら、回数と方法の見通しをご相談ください。

    よくある質問

    R20法とはどんな方法ですか?

    1回の受診の中で、レーザー照射後に生じる白い曇り(即時白色化反応)が消えるのを20分待ち、同じ場所へ再照射することを合計4回繰り返す方法です。2012年に発表された比較研究で提案されました。

    R20法なら1回の施術でタトゥーは完全に消えますか?

    原著研究で「96〜100%消えた」と評価されたのは、R20法を行った18個中11個(61%)でした。全てのタトゥーが1回で消えたわけではなく、色や入れ方によって結果に差がありました。

    同日に4回も照射して肌は大丈夫なのですか?

    原著では、4回照射した側に1回照射よりも深い皮膚の傷害や限られた範囲の水疱が確認されました。一方、6か月間の追跡では瘢痕の報告はありませんでした。肌質による個人差があるため、施術前の診察で確認することが大切です。

    自分のタトゥーにR20法が合うかはどう判断すればいいですか?

    タトゥーの色・大きさ・部位・入れてからの年数によってレーザーへの反応は変わります。医師が実物を診察したうえで照射計画を決めるのが確実なので、カウンセリングでご相談ください。


    参考文献

    1. [1]. Theodora Kossida, Dimitrios Rigopoulos, Andreas Katsambas, R. Rox Anderson. Optimal tattoo removal in a single laser session based on the method of repeated exposures. (Journal of the American Academy of Dermatology, 2012). doi:10.1016/j.jaad.2011.07.024. リンク
    2. [2]. Kavitha K. Reddy, Jeremy A. Brauer, Robert Anolik, Leonard Bernstein, Lori Brightman, Elizabeth Hale, Julie Karen, Elliot Weiss, Roy G. Geronemus. Topical perfluorodecalin resolves immediate whitening reactions and allows rapid effective multiple pass treatment of tattoos. (Lasers in Surgery and Medicine, 2013). doi:10.1002/lsm.22106. リンク
    3. [3]. Pier Luca Bencini, Simone Cazzaniga, Athanasia Tourlaki, Michela Gianna Galimberti, Luigi Naldi. Removal of tattoos by q-switched laser: variables influencing outcome and sequelae in a large cohort of treated patients. (Archives of Dermatology, 2012). doi:10.1001/archdermatol.2012.2946. リンク
    4. [4]. Pooja Gurnani, Natalie Williams, Ghadah Al-Hetheli, Olivia Chukwuma, Rebecca Roth, Francisco Fajardo, Keyvan Nouri. Comparing the efficacy and safety of laser treatments in tattoo removal: A systematic review. (Journal of the American Academy of Dermatology, 2022). doi:10.1016/j.jaad.2020.07.117. リンク
    5. [5]. N. Bunert, B. Homey, P. A. Gerber. Successful treatment of a professional tattoo with the R20 method. (Der Hautarzt, 2014). doi:10.1007/s00105-014-3510-z. リンク
    6. [6]. Dong Hye Suh, Byeong Geun Park, Su Ji Chae, Sang Jun Lee, Hwa Jung Ryu. What is the most effective picosecond laser protocol for tattoo removal?: a series of 9 cases. (Journal of Cosmetic and Laser Therapy, 2025). doi:10.1080/14764172.2025.2484375. リンク
    7. [7]. Sanjeev J. Aurangabadkar, V. V. Bhat, R. V. K. Choudhary. A Prospective Open-labeled Study of Tattoo Removal with Q-Switched Nd:YAG Laser Utilizing the R0 Technique and Correlation with Kirby–Desai Scale. (Journal of Cutaneous and Aesthetic Surgery, 2019). リンク

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