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アートメイクの針の種類、本数と配列で仕上がりはどう変わる
2026年9月14日

針の表記、数字と英字はこう読む
アートメイク用カートリッジのパッケージには、1207RLのような数字と英字の組み合わせが書かれています。この表記は、一般に針の直径、針の本数、配列の三つを組み合わせたものです。1207RLなら、直径0.35 mm、針7本、ラウンドライナーを示すことが多いとされています[5]。前半の数字が針の細さ、後半の数字が本数、英字が並び方、と覚えると読みやすくなります。
メーカーによっては、もう少し細かい情報も添えられます。たとえばKwadronの25/7 RLLTは、直径0.25 mmの針が7本、ラウンドライナーで、テーパー(針先が細くなる部分の長さ)が7 mmのロングテーパー、という意味です[4]。amieaのカタログでも、1-NANO 0.25 mm、3-Liner 0.25 mm、5-Magnum 0.35 mm、13-Magnum 0.35 mmのように、本数と直径を並べて製品を示しています[2]。
ただし、この書き方は世界共通の規格ではありません。表記方法は完全には共通化されておらず、最終的には各メーカーの仕様を確かめる必要があります[5]。同じ「7RL」と書かれていても、メーカーが違えば直径やテーパーが違うことがある、と考えてください。この記事の一覧は、あくまで読み方の目安としてご利用ください。
ラウンドライナーとラウンドシェーダー、線を引く針と塗る針
「ラウンド」は針を円形に束ねた配列です。ラウンドライナー(RL)は、針が円形に配置され、先端に向かって集まります[4]。密な点状の配列で、輪郭や線を引くのに向いています[3, 5]。Kwadronの説明でも、RLは輪郭と線向けとされています[3]。眉の毛並みや、アイラインの輪郭のような「線」を描く場面で選ばれる針、とイメージしてください。
ラウンドシェーダー(RS)は、同じ円形でもRLより針の配列がゆるやかです[3, 5]。Kwadronは、RSを太い輪郭と大きめの塗りに向く針としています[3]。線を引く道具と、面を塗る道具が、同じ「ラウンド」という名前の中で枝分かれしている、と考えると分かりやすいでしょう。
半永久メイク(日本でいうアートメイク)で用いられる5本配列のラウンドシェーダーを、走査電子顕微鏡で観察した研究もあります。丸く整った針先の直径は約6.80 µmで、変形した針先は約16 µmと、約2.5倍の差がありました[1]。同じ「5本のシェーダー」でも、針先の状態はここまで違うことがあります。配列の名前だけでなく、針先の状態にもばらつきがあることが分かります。

フラットとマグナム、面を塗るための配列
フラット(FL)は、針を1列に並べた配列です[3, 5]。Kwadronは、フラットはマグナムに似た1列の針で、より透明感のある跡を残し、グラデーションや3D効果に用いると説明しています[3]。眉のパウダー状の陰影や、リップの色の濃淡のように、少しずつ色を重ねて自然な面をつくる場面で候補になる針です。
マグナム(MG)は、針を2列に並べた配列です[3, 5]。Kwadronの説明では、大きな塗り、幅のある輪郭、シェーディングに用います[3]。1列のフラットより多くの針が同時に皮膚へ触れるので、広い面を効率よく塗るための針といえます。amieaのカタログにも、5-Magnum 0.35 mm、7-Magnum 0.30 mm、9-Magnum 0.35 mm、13-Magnum 0.35 mmと本数の異なるマグナムが並び、それぞれに目元、眉、唇、乳輪などの適用部位が併記されています[2]。
どの配列をどの工程で使うかは、施術者の技法、部位、肌の状態、機器の設定によって変わります。メーカー資料は用途の例を示しているもので、「リップは必ずマグナム」といった決まりがあるわけではありません。担当者がどの針を選ぶかは、あなたが望む仕上がりとの相談で決まります。
針の本数が増えると色の入り方はどう変わるのか
「本数が多いほど濃く入る」と思われがちですが、話はそれほど単純ではありません。本数は、一度に皮膚へ触れる針の数に関わりますが、それだけで線になるか面になるかが決まるわけではありません。たとえばKwadronの25/7 RLLTは7本の針を使う製品ですが、配列はラウンドライナーで、輪郭や線、細部に向くとされています[4]。本数だけでなく、配列がラウンドライナーかシェーダー、マグナムかによっても、跡の残り方は変わります。
針1本あたりの直径も、跡の見え方を左右します。Kwadronは、0.25 mmの針は0.20 mmの針より大きいピクセルを残すと説明しています[4]。amieaのカタログでは、同じ3本のライナーでも0.25 mmと0.30 mmが別の製品として並んでいます[2]。「3本」という本数が同じでも、直径が違えば残る点の大きさが変わるのです。さらに、テーパー(針先の細くなる部分の長さ)の違いも見え方に関わります[4]。
本数、直径、テーパー、そして施術者の手技。これらが組み合わさって、最終的な色の入り方が決まります。「7本だから濃い」「1本だから薄い」とは言い切れません。たとえばKwadronの25/7 RLLTは7本でも直径0.25 mmのロングテーパーで、同じ7本でも直径0.35 mmの1207RLとは別の製品です[4, 5]。本数の数字だけを見ず、直径とテーパーもあわせて見るのがコツです。
本数だけでは決まらない、皮膚への負担
「本数が多いほど1本あたりの負担が分散されて、皮膚にやさしい」という説明を見かけることがあります。しかし、皮膚への影響は針の本数だけで決まるとは言えません。針の直径、テーパー、針先の状態、カートリッジの構造、機器の設定、そして手技など、複数の要素が関わると考えられます。本数は、そのうちの一つの要素にすぎません。
針先の状態は、見落とされやすい要素です。前述の電子顕微鏡の研究では、変形した針先が丸く整った針先の約2.5倍の直径になっていました[1]。同じ研究では、溶接部の近くの針軸表面に、直径4〜5 µmのロゼット状の鉛(Pb)粒子も観察されています[1]。この研究は針先の形状や製造状態を比べたもので、施術成績や皮膚への影響を比べた臨床研究ではありません[1]。それでも、針先の形状や製造状態にはばらつきがあることが、この観察から分かります。
カートリッジの構造も関わります。米国ジョージア州のボディアート規則では、針カートリッジに、機器への色素の逆流を防ぐ膜を備えることを求めています[8]。これは本数とは無関係の、衛生面の設計です。また、広く採用される接続形式のカートリッジでも、機器との適合性や使用感は製品ごとに異なります[5]。本数の多い少ないより、信頼できる製品を適切な設定で使うことのほうが大切です。

タトゥー用とアートメイク用、針の規格は共通なのか
「タトゥー用の針とアートメイク用の針は別物」と聞くことがありますが、完全に別の規格というわけではありません。カートリッジには広く採用される接続形式があり、共通のマシンに装着できる製品も少なくありません。タトゥーとアートメイクの両方を用途に掲げる製品もあります。細い針を束ね、モーターで上下させて色素を皮膚に入れる、という基本の仕組みは同じです。
一方で「すべて共通」と考えるのも正確ではありません。接続形式が同じでも、機器との適合性や使用感は製品ごとに異なります[5]。表記も完全には統一されていないため、同じ数字でも別メーカーでは意味が違うことがあります[5]。アートメイク向けとして販売されている製品では、amieaのカタログのように、目元、眉、唇、乳輪といった適用部位が製品ごとに併記されています[2]。用途に合わせて設計された針を選ぶことが前提です。
施術を受ける側が覚えておきたいのは、次の点です。「タトゥー用だから危険」「アートメイク用だから安全」という単純な区別はできないこと。そして、どの針であっても、単回使用で滅菌済みの新品を使うという基本は変わらないことです[8]。針の出自より、その針がどう扱われているかを見る。それが確認のポイントになります。
施術前に担当者が使う針を確認する意味
針の本数や配列を知っておくと、担当者との会話がしやすくなります。「毛並みは細い線で、全体はふんわり」と伝えれば、担当者はライナーとシェーダー、マグナムをどう使い分けるかを説明できます。ただ、配列の好みを伝えること以上に大切な確認があります。それは、針が清潔で、新品で、あなたのために開封されるかどうかです。
米国FDAは、タトゥーやアートメイクに用いる不潔な器具や針が、肝炎などの感染症を媒介し得ると指摘しています[6]。そのうえで、施術前にすべての器具が清潔で衛生的であることを確かめる重要性を示しています[6]。米国ジョージア州の規則では、タトゥー手技について、市販包装された単回使用・事前滅菌済みの針を使い、利用者の前で開封し、使用後は直ちに耐穿刺性容器へ廃棄することを定めています[8]。同州の規則そのものは日本には適用されませんが、目の前で新品の袋が開けられるかどうかは、確認しておきたい点です。
針が清潔でも、それだけで十分とは言えません。FDAは、衛生的な手技が行われていても、汚染されたインクが感染を起こした事例があると記載しています[6]。針、色素、施術環境がそろって初めて衛生が成り立ちます。厚生労働省は、アートメイクを、医師が行わなければ保健衛生上の危害を生じるおそれがある行為として示しています[7]。針の配列の好みに加えて、医療機関としての体制と衛生管理を確かめることが、施術を受ける側の確認の意義です[7]。
配列ごとの跡と用途例、ひと目でおさらい
ここまでの内容を、配列ごとにまとめます。ラウンドライナー(RL)は円形の密な配列で、輪郭と線向けです[3, 5]。ラウンドシェーダー(RS)はRLよりゆるい円形で、太い輪郭と大きめの塗りに用います[3]。フラット(FL)は1列で、透明感のある跡を残し、グラデーションや3D効果に向きます[3]。マグナム(MG)は2列で、大きな塗り、幅のある輪郭、シェーディングに用います[3, 5]。
本数と直径は、amieaのカタログを例にすると幅があります。1本の0.25 mmから、3本の0.25 mm・0.30 mm、5本の0.35 mm、7本の0.30 mm、9本と13本の0.35 mmまでそろっています[2]。同じ本数でも直径が違う製品があり、Kwadronは0.25 mmの針が0.20 mmより大きいピクセルを残すと説明しています[4]。針は、本数、配列、直径、テーパーの四つの軸で見ると、パッケージの表記が読めるようになります。
この一覧は「どの針が正解か」を決めるものではありません。仕上がりは、針と色素、部位、肌の状態、そして施術者の手技が重なって決まります。針について気になることがあれば、予約時にご相談ください。どの針をどの場面で使うかは、当日ご案内します。
よくある質問
ラウンドライナーとラウンドシェーダーは何が違いますか?
どちらも針を円形に束ねた配列です。ラウンドライナー(RL)は針が密に集まり、輪郭や細い線向けです。ラウンドシェーダー(RS)はRLより配列がゆるく、太い輪郭や大きめの塗りに用いられます。
針の本数が多いほど色は濃く入りますか?
本数だけでは決まりません。針1本の直径やテーパー(針先の細くなる部分の長さ)、機器設定、施術者の手技が組み合わさって色の入り方が決まります。同じ7本でも直径が違えば残る点の大きさは変わります。
フラットやマグナムはアートメイクのどこで使いますか?
メーカー資料では、フラットは透明感のある跡を残しグラデーションや3D効果に、マグナムは大きな塗りやシェーディングに用いるとされています。実際にどの工程で使うかは、技法、部位、肌の状態によって担当者が判断します。
タトゥー用の針とアートメイク用の針は同じものですか?
完全に別の規格ではなく、広く採用される接続形式を持つカートリッジや、両方の用途を掲げる製品があります。ただし接続の適合性や表記はメーカーごとに異なるため、すべてが共通というわけでもありません。
施術前に針について確認すべきことは何ですか?
配列の好み以上に大切なのは、単回使用・滅菌済みの新品が目の前で開封されるかどうかです。あわせて、色素の管理や医療機関としての体制も確認するとよいでしょう。気になる点は予約時にご相談ください。
参考文献
- [1]. Hyun Sook Jin, Seung Hyun Oh, Byung Soo Chang. Material analysis on semi-permanent makeup needles. (Applied Microscopy, 2024). doi:10.1186/s42649-024-00103-1. リンク
- [2]. amiea. amiea Product Catalog 2024. (amiea / MT.DERM GmbH, 2024). リンク
- [3]. Kwadron PMU. Kwadron Optima Cartridges. (KWADRON, 記載なし). リンク
- [4]. Kwadron PMU. KWADRON OPTIMA 25/7RLLT - 1 pc. PMU CARTRIDGES. (KWADRON, 記載なし). リンク
- [5]. EZ Knowledge Hub. Tattoo Cartridge Needles Explained: The Complete Guide. (EZ Cartridge UK, 2026). リンク
- [6]. U.S. Food and Drug Administration. Cosmetics Safety Q&A: Tattoos and Permanent Makeup. (U.S. Food and Drug Administration, 2024). リンク
- [7]. 厚生労働省 医政局・健康・生活衛生局・商務情報政策局. 美容所等におけるアートメイク施術について. (厚生労働省, 2025). リンク
- [8]. Georgia Department of Public Health. Rule 511-3-8-.15 Tattoo Procedures. (Georgia Secretary of State, Rules and Regulations of the State of Georgia, 記載なし). リンク
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