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    フィッツパトリック肌タイプI〜VI早見表とタトゥー除去での見方

    2026年11月2日

    Medical ColumnTokyo Ueno
    フィッツパトリック肌タイプI〜VI早見表とタトゥー除去での見方

    1975年、乾癬の光線療法のために生まれた分類

    フィッツパトリック分類は、トーマス・B・フィッツパトリックが考えた肌タイプの分け方です。1975年に「Soleil et Peau」という文献が出ています[1]。本人も1988年の論文で、日光への反応で肌タイプを分ける方法を1975年に作ったと書いています[2]。今では日焼け止めや肌診断の説明でもよく見かけますが、もとは美容のために作られたものではありません。出発点は病院で行う治療の安全を守るための道具でした。

    目的は乾癬(かんせん:皮膚が赤く盛り上がる慢性の病気)の治療に使う「PUVA療法」で、最初に当てる紫外線の量を決めることでした[2]。PUVA療法では、光への反応を強める薬(メトキサレン)を飲んでから、紫外線の一種であるUVAを当てます。対象は白人の乾癬患者でした[2]。薬と光が効きすぎると光毒性反応(光によるやけどのような反応)が出るため、患者ごとに初回量を見きわめる必要がありました。

    きっかけの一つは、茶色や黒の髪、茶色の目をした患者でも、重い光毒性反応が起きた経験です。メトキサレン0.6 mg/kgを飲んでから2時間後に、4〜6 J/cm²のUVAを当てたときのことでした[2]。フィッツパトリックはこの経験から、白人がPUVA療法にどこまで耐えられるかは、髪や目の色だけでは決められないと述べています[2]。そこで必要になったのが、見た目の色ではなく、光に当たったときの反応をたずねる分類でした。

    診察台に置かれた紫外線防護用のゴーグルとたたんだタオル、淡い紫の光が差している

    タイプI〜VIの早見表 赤くなりやすさと黒くなりやすさ

    早見表は日焼けしたときに「赤くなってヒリヒリするか」と「あとで色が付くか」の2つを軸にして見ます。米国保健福祉省の公衆衛生総監が出した皮膚がん予防の資料では、次のように定めています[4]。タイプIは「常に日焼けし、日焼け後に色が付かない」、IIは「容易に日焼けし、最小限に色が付く」、IIIは「中等度に日焼けし、徐々に淡褐色になる」です。ここでいう「日焼けする」は、肌が赤くなって痛む反応を指しています。

    続くタイプIVは「最小限に日焼けし、常に中等度の褐色によく色が付く」、Vは「まれに日焼けし、濃く色が付く」です。VIは「日焼けせず、強く色素沈着しており、最も紫外線感受性が低い」と書かれています[4]。数字が大きいほど赤くなりにくく、色が付きやすい肌だと覚えると、表を引きやすくなります。言い回しは文献によって少し違い、2013年の研究では、IIを「容易に日焼けし、その後に薄く色が付く」と表しています[3]。

    早見表の言葉は「日焼けしやすい肌」「しにくい肌」と短くまとめられがちです。実際には、赤くなる反応と色が付く反応をそれぞれ見ています。たとえばIIとIIIはどちらも色が付く肌ですが、赤くなりやすさの度合いで分かれます[4]。ご自分の経験を思い出すときは、赤くなったかどうかと、そのあと黒くなったかどうかを一つずつ振り返ってください。そうすると、表の言葉と照らし合わせやすくなります。

    タイプI〜VIの6行からなる早見表。列は「タイプ」「赤くなりやすさ(日焼け)」「色の付きやすさ(色素沈着)」「定義の要約」の4つ。赤くなりやすさは上(I)ほど濃

    肌の色だけでは決まらない、紫外線への反応

    フィッツパトリック分類は「肌の色の分類」と紹介されることがありますが、それだけでは足りません。もとの目的は、紫外線を浴びたあとの反応から、治療の初回量を決めることでした[2]。タイプの定義も、赤くなる反応と色が付く反応で書かれています[4]。考案者自身が、髪や目の色だけでは光への耐えやすさを決められないと述べている点も、この考え方を裏づけています[2]。いま見えている肌の明るさは、手がかりの一つにすぎません。

    2013年に、対象を観察して調べた研究でも、タイプは2つの反応で定義されています。一つは初めて日光を浴びてから24時間後に赤くなったか、痛んだか。もう一つは7日後に色が付いたかです[3]。夏に屋外で過ごして黒く見える人も、冬に色白に見える人も、その時点の見た目だけで本来のタイプを決めることはできません。同じ人でも、季節によって肌の色はかなり違って見えるものです。

    日焼けで赤みの出た肩と、くっきり残る白い日焼け跡のクローズアップ

    タイプV・VIが加わった経緯と、人種で決めない理由

    この分類は、白人の患者を対象にした治療から始まりました[2]。1988年の論文では、題名に「I Through VI」とあり、タイプI〜VIの6段階として示されています[2]。2013年の研究は、このときのV・VIの加え方が、同じ民族の人たちをまとめて一つの肌タイプに当てはめる先例になったと指摘しています[3]。その結果、紫外線への反応ではなく、民族の呼び名でタイプが決められ、評価がかたよるおそれがあったというのです[3]。

    ですから、「〇〇系だからタイプV」のように、人種や民族からタイプを当てはめる見方はおすすめできません。同じ地域の出身でも、日光への反応は人それぞれです。早見表で見るべきなのは、ご自身の肌が日光を浴びたときにどう反応してきたかです。タトゥー除去でも、一人ひとりの肌の反応を確かめることが出発点になります。

    左から右へ流れる年表の図。1975年「フィッツパトリックが日光への反応による肌タイプ分けを考案(白人の乾癬患者のPUVA療法で、UVAの初回量を決めるため)」[

    タトゥー除去で肌タイプを確かめる理由

    レーザーによるタトゥー除去は、皮膚の奥にあるインクの粒に光を吸収させて、細かく砕く治療です。ところが、皮膚の表面近く(表皮)にあるメラニンも、同じ光を吸収しようとします。メラニンは肌の色のもとになる色素です[6]。インクとメラニンが光を取り合っている、と考えると分かりやすいでしょう。メラニンが光を多く受け取ると、色が抜ける・濃くなるといった色素異常や、水ぶくれ、傷あとにつながることがあると報告されています[6]。

    メラニンの多い肌、たとえば濃い肌タイプの人や日焼けしている人ほど、この取り合いが起こりやすくなります[5, 6]。そのためタトゥー除去の総説では、レーザーを選ぶときに、タトゥーの色と肌タイプの両方を考えるべきだとしています[6]。別の、これまでの研究をまとめた論文も、タトゥーの由来、含まれる色、重ね彫りの有無とあわせて、患者のフィッツパトリック肌タイプを理解することを求めています。そうすることで、満足できる結果の可能性が高まると述べています[7]。

    皮膚の断面図。上から表皮(褐色の点でメラニンを表す)、真皮(黒い粒でタトゥーインクを表す)の2層を描く。上から2本のレーザー光の矢印を入れ、短い波長の矢印は表皮

    波長と出力の選び方に肌タイプがどう関わるか

    タトゥー除去でよく使われるレーザーには、次のものがあります。532 nmと1064 nmのNd:YAG(ヤグ)レーザー、694 nmのQスイッチルビーレーザー、755 nmのQスイッチアレキサンドライトレーザーです[7]。nm(ナノメートル)は光の波長の長さで、数字が大きいほど長い波長です。どの波長が向くかはインクの色でも変わり、たとえば532 nmのNd:YAGレーザーは赤い色素の除去に適しているとされています[5]。

    濃い肌、とくにフィッツパトリックV・VIで黒いタトゥーを治療する場合は、できるだけ長い波長を使うのがよいとされています[5]。長い波長は表皮のメラニンに吸収されにくく、皮膚表面の傷みを抑えられるからです。一方で、黒いインクはこれらの波長をほぼ同じくらい吸収します[5]。別の、これまでの研究をまとめた論文でも、日焼けしている人や濃い肌タイプの人には、1064 nmのNd:YAGのような長い波長が向くとしています。メラニンへの吸収と合併症のリスクを減らせるためです[6]。

    出力の決め方にも肌タイプは関わります。タイプIV〜VIの3人の黒いタトゥーを、1064 nmのNd:YAGで除去した、患者さんの経過をまとめた報告があります[8]。プロのタトゥーを2回、アマチュアのタトゥーを3回、顔にあるプロのタトゥー2つを合計11回治療し、全体として満足できる結果でした。ただし3人中2人に、色が白く抜ける低色素沈着が起きました[8]。著者らは日光を浴びたこと、治療の間隔が短すぎたこと、高いフルエンス(照射する面積あたりのエネルギー量)と小さな照射範囲(スポット径)の組み合わせが関わった可能性を挙げています。そのうえで、濃い肌では一般に、低めのフルエンスと広めの照射範囲から始めると記しています[8]。

    滅菌布を敷いた診察台のステンレストレイに置かれたレーザーハンドピースとケーブル

    早見表で自己判定するときの限界

    早見表は便利ですが、ご自分で当てはめた結果がそのまま正しいとは限りません。2013年に、対象を観察して調べた研究では、270人の回答のうち114人、42%が、標準的なフィッツパトリック分類のどのタイプにも当てはまりませんでした[3]。質問に答えても、4割を超える人が表のどこにも入らなかったことになります。表の言葉と自分の記憶をぴったり合わせるのは、思ったより難しい作業です。

    同じ研究では、肌のメラニン量を分光測色計で測り、判定結果と比べています[3]。分光測色計は、肌に当てた光の反射から色を数値で測る機器です。医師が判定した場合、IIIとIV、IVとVのあいだで、メラニン量にはっきりした差がありました(いずれもP<.001)[3]。本人の判定では、IIIとIVには差があった(P<.001)一方、IVとVの差はP=.90で、差は認められませんでした[3]。

    とくにタイプIII〜VIのあたりでは、本人の判定より医師の判定のほうが正確だったことになります[3]。タトゥー除去を考えるときは、早見表で「自分はこのあたりかな」と見当をつけるところまでにしておきましょう。最終的な判断は、診察に任せるのが安心です。

    診察の前に思い出しておきたいこと

    早見表の答えだけで、レーザーの細かな設定が決まるわけではありません。これまでの研究をまとめた論文が挙げているように、タトゥーの色、プロが入れたものかどうか、重ね彫りがあるかといった情報もあわせて判断します[7]。症例報告でも、日光を浴びたことや治療の間隔が結果に関わった可能性が示されています[8]。肌タイプは、こうした判断材料の一つとして医師が確かめるものです。

    受診の前に、夏に海や屋外で過ごしたあと肌がどうなったか、最近日焼けをしたかを思い出しておくと、診察で伝えやすくなります。日焼けしている人や濃い肌タイプの人では、レーザーの選び方が変わるからです[6]。タトゥーをいつ、どこで入れたか、上から別のデザインを重ねたかも、分かる範囲でメモしておきましょう[7]。

    inklinic では、医師が診察で肌とタトゥーの状態を確かめたうえで、治療の進め方をご案内します。照射の回数や間隔、日焼け対策など、具体的なことは当日ご説明します。早見表で迷ったタイプがあれば、そのままお伝えください。自己判定が難しいことは研究でも示されているので[3]、分からないところは診察で一緒に確かめていきます。気になることは、予約のときにお気軽にご相談ください。

    よくある質問

    フィッツパトリック肌タイプは、肌の色だけで決まりますか?

    肌の色だけでは決まりません。タイプの定義は、日光を浴びたあとに赤くなるかどうかと、そのあと色が付くかどうかの反応で書かれています。考案したフィッツパトリック自身も、紫外線への耐えやすさは髪や目の色だけでは決められないと述べています。

    早見表で自分の肌タイプを判定すれば十分ですか?

    目安としては役立ちますが、最終的な判断は診察に任せるのが安心です。2013年の研究では、270人の回答のうち114人、42%が標準的な分類のどのタイプにも当てはまりませんでした。タイプIII〜VIのあたりでは、本人の判定より医師の判定のほうが正確でした。

    タトゥー除去で肌タイプが関係するのはなぜですか?

    皮膚の表面近くにあるメラニン(肌の色のもとになる色素)が、レーザーの光をインクと取り合うためです。メラニンが光を多く受け取ると、色素異常や水ぶくれ、傷あとにつながることがあると報告されています。そのため、レーザーはタトゥーの色と肌タイプの両方を見て選びます。

    肌の色が濃い場合、どのようなレーザーが使われますか?

    文献では濃い肌タイプの黒いタトゥーには、1064 nmのNd:YAGレーザーのように、できるだけ長い波長を使うのがよいとされています。長い波長は表皮のメラニンに吸収されにくいためです。フルエンスは低めに、照射範囲は広めから始めるのが一般的とされています。実際の設定は診察のうえでご案内します。

    人種や出身地で肌タイプを決めてもよいですか?

    おすすめできません。2013年の論文は、1988年にタイプV・VIが加わったときの方法が、同じ民族の人たちをひとつの肌タイプにまとめる先例となり、評価の偏りを招き得たと指摘しています。見るべきなのは、ご自身の肌が日光にどう反応してきたかです。


    参考文献

    1. [1]. Thomas B. Fitzpatrick. Soleil et Peau. (Journal de Médecine Esthétique, 1975). リンク
    2. [2]. Thomas B. Fitzpatrick. The Validity and Practicality of Sun-Reactive Skin Types I Through VI. (Archives of Dermatology, 1988). doi:10.1001/archderm.1988.01670060015008. リンク
    3. [3]. Steven Eilers, Daniel Q. Bach, Rikki Gaber, Hanz Blatt, Yanina Guevara, Katie Nitsche, Roopal V. Kundu, June K. Robinson. Accuracy of Self-report in Assessing Fitzpatrick Skin Phototypes I Through VI. (JAMA Dermatology, 2013). doi:10.1001/jamadermatol.2013.6101. リンク
    4. [4]. U.S. Department of Health and Human Services. The Surgeon General's Call to Action to Prevent Skin Cancer: Table 3. Fitzpatrick Skin Type. (Office of the Surgeon General, U.S. Department of Health and Human Services, 2014). リンク
    5. [5]. Eric F. Bernstein. Laser Tattoo Removal. (Seminars in Plastic Surgery, 2007). doi:10.1055/s-2007-991186. リンク
    6. [6]. Stephanie G. Y. Ho, Chee Leok Goh. Laser Tattoo Removal: A Clinical Update. (Journal of Cutaneous and Aesthetic Surgery, 2015). doi:10.4103/0974-2077.155066. リンク
    7. [7]. Loren Hernandez, Noreen Mohsin, Fabio Stefano Frech, Isabella Dreyfuss, Ashley Vander Does, Keyvan Nouri. Laser tattoo removal: laser principles and an updated guide for clinicians. (Lasers in Medical Science, 2022). doi:10.1007/s10103-022-03576-2. リンク
    8. [8]. Giancarlo Pincelli, Michelle Mota Sena, Christiane Pavani. Nd:YAG Laser Tattoo Removal in Individuals With Skin Phototypes IV-VI: A Case Series. (Journal of Lasers in Medical Sciences, 2022). doi:10.34172/jlms.2022.79. リンク

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