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PMUって何の略?アートメイクとの関係と色が薄くなる理由
2026年9月7日
PMUはPermanent Makeupの略。英語圏での呼び名です
PMUは英語のPermanent Makeup(パーマネントメイクアップ)の略で、そのまま訳すと「永久的な化粧」です。米国皮膚科学会の雑誌に載った2024年のレビュー論文も、この施術をPMUと略し、cosmetic tattooing(コスメティックタトゥー)、permanent cosmetics、micropigmentation(マイクロピグメンテーション)という別名を併記しています[1]。どれも、針で皮膚に色素を入れて、毎日のメイクを補ったり置き換えたりする施術を指す言葉です[1]。
行政機関もこの呼び名を使っています。米国の食品医薬品局(FDA)はタトゥーとパーマネントメイクアップを一つのページで解説しており[2]、欧州化学品庁(ECHA)もpermanent make-upという言葉で規制を説明しています[3]。日本語の「アートメイク」を英語で調べたいときは、permanent makeupやPMUで検索すると、こうした一次資料にたどり着けます。
中身はアートメイクと同じ。違うのは「誰が施術できるか」
日本でアートメイクと呼ばれる施術は、PMUと同じものです。厚生労働省は2025年8月15日の通知で、針先に色素を付けながら皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為のうち、眉毛・毛髪・乳輪や乳頭など、施術箇所に本来ありうる人体の構造物を描く行為と、アイライン・チーク・リップなど化粧に代わる装飾を描く行為を挙げています[4]。欧州化学品庁も、permanent make-upをアイラインのようなデザインや、顔・唇・まぶたの色を整えるための施術として説明しています[3]。
大きく違うのは法律上の扱いです。日本ではこれらの行為は医行為とされ、医師や看護師等の免許を持たない人が仕事として行えば医師法違反になります[4]。「○○メイク」「○○タトゥー」のように別の名前で提供されていても、同じ行為であれば医行為です[4]。施術できるのは医師、または医師の指示を受けて診療の補助を行う看護師等で、看護師等が医師の指示なく行うことは違法な例として明記されています[4]。美容所などでアートメイクが行われているという情報を受けて、厚生労働省は都道府県に対応を求める通知を出し、名称を問わず医行為であること、特定の施術を許可・容認した事実は一切ないことを改めて示しています[5]。
米国では仕組みが違います。FDAは皮膚に入れるインクを化粧品として扱っています[2]。施術そのものは州や地域ごとに規制され、施術に必要な研修などの決まりにも大きな差があります[1, 2]。同じPMUという言葉でも、国が変われば、誰がどんな決まりのもとで施術するかが変わります。
針で真皮の浅い層に色素を入れる、という共通の原理
PMUはタトゥーの一形態です。2024年のレビュー論文は、振動する針で色素を真皮の浅い層へ入れる施術だと説明しています[1]。皮膚は表面の表皮と、その下の真皮という層に分かれています。表皮は絶えず生まれ変わるため、色素を表皮だけに置いても長くは残りません。そのため色を残すには、インクを真皮まで入れる必要があります[3]。この点でPMUは、装飾目的のボディタトゥーと同じ原理による施術です[1]。
PMUとボディタトゥーは、目的や施術する場所によって区別されます。レビュー論文は、PMUが顔に施される点などで装飾目的のボディタトゥーと区別されると記載しています[1]。眉の毛並みを描く、まつ毛の間を埋めてアイラインを作る、唇の色を整える、といった施術は、いずれも化粧に代わるものです。
眉の技法(毛並み風、パウダー風など)は技法図鑑の記事で、インクの成分はインク原料の記事でくわしく扱っています。
「パーマネント」なのになぜ薄くなるのか
名前に「永久」とあるPMUですが、色が入れた時のまま一生残るわけではありません。2024年のレビュー論文は、PMUの色素は時間とともに失われ、特に顔面では紫外線による分解の影響を受けると記載しています[1]。顔は服で覆われず、一年を通して日光にさらされる場所です。色素が紫外線で分解されれば、眉やリップの色は薄くなり、色調も変わっていきます。同じレビュー論文は、PMUはボディタトゥーより真皮の浅い層に入れられ、水に溶けやすい色素が使われる傾向があり、そのどちらか、または両方が早く薄れる理由と推測されているとも述べています[1]。
色材の性質が関わっている可能性を示す動物研究があります。2024年の研究では、PMU用とタトゥー用の機器でPMU色材とタトゥーインクをマウスの皮膚に入れ、時間をおいて組織を調べました[6]。56日後には、色素のある深さはほぼ同じになっていましたが、大きな無機顔料を含むPMU色材は時間とともに薄れ、小さく安定した有機顔料のタトゥーインクは残りました[6]。著者らは、PMUで色の濃さや形を保つために手直しが必要になるのは、施術方法よりも色材の性質によるものだろうと考えています[6]。
ただし、これは眉用の茶色いPMU色材1種類と黒のタトゥーインク1種類を、マウスで比べた研究です[6]。人のあらゆる製品や部位にそのまま当てはめることはできません。色素が皮膚に残る仕組みは、通常のタトゥー色素を使ったマウスの研究でも調べられています。2018年の研究では、マクロファージという細胞がタトゥー色素の粒子を取り込み、その細胞が死んでも、新しいマクロファージが放出された色素を再び取り込むことが示されました[7]。この仕組みがPMUの色素にそのまま当てはまるかは、この研究だけでは分かりません。薄くなるまでの期間は文献によっても幅があり、一律には言えません[1, 6]。
海外サイトの「FDA認可」「REACH適合」をどう読むか
英語のPMU情報では、FDA approvedやFDA認可といった宣伝文をよく見かけます。FDAは、化粧品への使用が認められた着色料はあっても、タトゥーやPMUのように皮膚へ注入する用途で認められた着色料はないと説明しています[2]。つまり「注入用としてFDAが認めた色素」というものはありません。FDAは、タトゥーインクに使われる顔料の多くは、皮膚に触れる用途でさえ認められていないとも説明しています[2]。「FDA認可」の表示は、外用の化粧品として認められた色素を指している場合もあれば、根拠のない表示である場合もあります。
欧州の情報では、REACH規則という言葉が出てきます。ECHAは、EU・EEAでタトゥーとPMUのインクに含まれる4,000種類を超える有害化学物質への制限が2022年1月4日から適用されたこと、販売されるインクには用途や成分一覧などをラベルに示す必要があることを説明しています[3]。「REACH適合」は、EU・EEAで販売される製品がこの規制に沿っているという意味で、日本で流通する製品にそのまま当てはまるとは限りません。
米国はインクを化粧品として扱い[2]、欧州は有害な化学物質ごとに濃度の上限を設けて制限しています[3]。日本は施術そのものを医行為として扱います[4]。海外の記事を読むときは、規制の対象がインクなのか施術なのか、その国での決まりを確認してください。
日本で受けるときに確かめること
海外の情報は、施術の原理や色が薄くなる仕組みを知る参考になります[1]。日本で受ける場合は、施術する場所と担当者が国内の決まりに沿っているかを確認しましょう。施術の前に、医療機関であること、そして医師が施術するか、医師の指示のもとで看護師等が施術することを確認してください[4]。
薄くなるまでの期間は文献によっても幅があり、一律には言えません[1, 6]。薄くなったら手直しを相談する前提で、デザインや色の希望を医師とよく話しておくと安心です。
よくある質問
PMUとは何の略ですか?
英語のPermanent Makeup(パーマネントメイクアップ)の略です。針で皮膚の浅い層に色素を入れ、眉やアイライン、リップなど毎日のメイクを補ったり置き換えたりする施術を指します。英語圏ではcosmetic tattooing、micropigmentation、permanent cosmeticsとも呼ばれます。
PMUと日本のアートメイクは同じ施術ですか?
眉やアイライン、リップを針と色素で描くという中身は同じです。違うのは決まりで、日本では名称を問わず医行為とされ、医師、または医師の指示を受けた看護師等が行います。
PMUは名前どおり一生消えないのですか?
いいえ。時間の経過や、顔では紫外線の影響で、色が薄くなったり色調が変わったりすることが報告されています。薄くなるまでの期間は文献によっても幅があり一律には言えないため、手直しを前提に考えるのが現実的です。
海外サイトの「FDA認可インク」という表示は信用できますか?
そのままは受け取れません。米国FDAは、化粧品への使用が認められた着色料はあっても、タトゥーやPMUのように皮膚へ注入する用途で認められた着色料はないと説明しています。
参考文献
- [1]. Ghazal Ghafari, Jack Newcomer, Sarah Rigali, Walter Liszewski. Permanent makeup: A review of its technique, regulation, and complications. (Journal of the American Academy of Dermatology, 2024). doi:10.1016/j.jaad.2024.01.098. リンク
- [2]. U.S. Food and Drug Administration. Tattoos & Permanent Makeup: Fact Sheet. (U.S. Food and Drug Administration, 2024). リンク
- [3]. European Chemicals Agency. Tattoo inks and permanent make-up. (European Chemicals Agency, 2022). リンク
- [4]. 厚生労働省医政局長. 美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号). (厚生労働省, 2025). リンク
- [5]. 厚生労働省. 美容所等におけるアートメイク施術について. (厚生労働省, 2025). リンク
- [6]. Eleni Andreou, Sophia Hatziantoniou, Efstathios Rallis, Vasiliki Kefala. Why Permanent Makeup (PMU) Is Not a Lifetime Application. (Cosmetics, 2024). doi:10.3390/cosmetics11050160. リンク
- [7]. Anna Baranska et al.. Unveiling skin macrophage dynamics explains both tattoo persistence and strenuous removal. (Journal of Experimental Medicine, 2018). doi:10.1084/jem.20171608. リンク
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