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    眉アートメイクのレーザー除去、照射ごとの色の変化と経過

    2026年10月19日

    Medical ColumnTokyo Ueno
    眉アートメイクのレーザー除去、照射ごとの色の変化と経過

    レーザーを当てると、眉の色素はどうなる?

    眉アートメイクの色素は、皮膚の表面ではなく、その下にある真皮という層に入っています。真皮は、肌の弾力を支える土台のような部分です。除去に使うレーザーは、ごく短い時間に強い光を当てて、この色素の粒に吸収させます。1997年に報告されたタトゥー35件の組織を調べた研究では、光が色素に選んで反応し、まわりの細胞や真皮のコラーゲンへの熱の傷はほとんどみられなかったとされています[1]。ただしこれは眉アートメイクに限った研究ではなく、レーザー照射全般で肌への負担がほとんどないことを示すものでもありません。

    1997年に英国で報告された研究では、Nd:YAGレーザーを3回以上当てたタトゥー計35件の皮膚組織を顕微鏡で調べています[1]。照射の直後、真皮の浅い層では色素の粒が消えていました[1]。中ほどや深い層に残った細かな破片は、細胞にもう一度取り込まれる様子が見られています[1]。また、黒には1064nm、赤には532nmというように、色によって反応する光の波長が違うことも示されました[1]。

    2022年のラットを使った実験では、背中に入れた黒いタトゥーに4種類のレーザーを1回ずつ当てて比べています[2]。どのレーザーでも黒の除去に効果がみられ、砕けた粒の大きさと、真皮に集まるマクロファージの量が、消え方と関係していました[2]。マクロファージは、体の中の異物を片づける掃除役の細胞です。色素が薄くなるまでには、光で砕く働きと、体の細胞の働きの両方が関わっていることがうかがえます。

    皮膚の断面図。表皮、真皮の層を描き、真皮内の色素の粒にレーザー光が当たって細かく砕け、その破片をマクロファージ(掃除役の細胞)が取り込む様子を左から右へ3段階で

    毎回、眉全体が同じように薄くなるとは限らない

    除去を始める前は、照射のたびに眉全体が少しずつ均一に薄くなっていくと想像しがちです。しかし実際の研究では、そうならない例が報告されています。アイラインと眉のレーザー除去を受けた76人の記録を、2023年の研究が調べました[6]。初回治療後、76人中20人(26.3%)で、それまで見えていなかった色が現れました[6]。現れた色は赤、オレンジ、黄、緑、青などさまざまです[6]。

    理由の一つは、眉の色が1色ではないことです。自然な茶色や灰色に見える眉も、黒・赤・黄など複数のインクを混ぜた色素で描かれている場合があります。眉の色の変化を集めた2025年の報告では、こうした混ざった色素で黒の成分だけが先に減ると、赤やオレンジがかった赤、黄色が目立つ可能性を著者らが述べています[5]。絵の具を混ぜた色から黒だけを抜くと、明るい色が表に出てくるイメージです。

    さらに化粧タトゥーには、複数の層や多様な色素が含まれることがあります。眉の化粧タトゥー98人を対象にしたピコ秒レーザーの研究では、こうした理由からレーザーへの反応を予測しにくいと記されています[7]。途中で色味が変わっても、それは複数の研究で報告されている経過の一つです。あらかじめ知っておくと、照射後の鏡の中の変化にも落ち着いて向き合えます。

    眉の色素を『黒・赤・黄の粒が混ざった茶色』として描き、照射後に黒の粒だけが減って赤・オレンジ・黄の粒が目立つ様子を、左(照射前の茶色い眉)→右(オレンジがかった

    初回のあとに現れやすい、オレンジや黄色

    2015年1月から2022年1月までに、ピコ秒レーザーで顔の化粧タトゥー除去を受けた33人の記録を調べた研究があります[4]。ピコ秒レーザーは、1兆分の1秒単位というごく短い時間で光を当てる機器です。この研究では33人中30%で、1064nmのピコ秒レーザーによる初回治療のあとに、予想していなかった色の変化が起きました[4]。論文では、オレンジ色が現れる現象にも触れています[4]。

    眉に限った報告もあります。2つの皮膚科施設で、レーザー後に明るい色へ変わった眉の症例を集めた2025年の報告では、対象の女性10人全員が初回照射から数日以内に色の変化に気づいていました[5]。最初に出た色は、10人中8人が赤またはオレンジがかった赤、10人中2人が黄色です[5]。この報告は色の変化が起きた人だけを集めたものなので、何人に1人の割合で起こるかを示す数字ではありません。

    色は一度変わって終わりとは限らず、段階的に移ることもあります。10人の報告では、患者の一人の症例写真で、黒の成分が減ったあとにオレンジ色が、続いて黄色が目立つ経過が示されています[5]。また同じ報告では、色の変化に対して治療を受けた6人のうち、ピコ秒532nmレーザーを使ったのは4人でした。その4人のうち3人では、最初の532nm照射後に黄色へ変わりました[5]。照射のたびに色味を見比べることが大切なのは、こうした移り変わりがあるからです。

    眉の色の移り変わりを横一列の色帯で示す図。『照射前:茶〜灰』→『黒の成分が減る』→『オレンジ〜赤が目立つ』→『黄色が目立つ』の順に色見本を並べ、矢印でつなぐ。下

    反対に、黒っぽく濃くなる場合もある

    1993年の報告では、Qスイッチルビーレーザー、QスイッチNd:YAGレーザー、パルス色素レーザーを当てたあとに、化粧タトゥーや白、肌色、ピンクがかった赤のタトゥーが濃く変わった5症例がまとめられています[3]。この変化は照射の直後から起こりました[3]。5症例のうち3例は追加のレーザー治療で暗色化したインクを除去でき、残る2例は外科的切除が必要でした[3]。

    背景にあると考えられているのが、酸化鉄という成分です。酸化鉄は、茶色や赤みのある化粧タトゥーに一般的に使われる色素です[3]。同じ報告では、症例に使われた赤い化粧タトゥーインクと酸化鉄に、試験管の中でQスイッチルビーレーザーを当てると黒く変わりました[3]。著者らは、少なくとも一部では酸化第二鉄(Fe2O3)が酸化第一鉄(FeO)へ変わる反応が関わっている可能性を示しています[3]。

    眉にどんな色素が使われているかは、施術を受けたご本人にも分からないことがよくあります。この報告では、白や肌色、ピンクがかった赤の化粧タトゥーも濃くなる例に含まれていました[3]。以前に別のお店で眉を直したことがある方や、色を足した経験がある方は、分かる範囲で施術歴を診察時にお伝えください。医師が照射の進め方を考えるうえで、大切な手がかりになります。

    酸化鉄の色の変化を示すシンプルな図。左に赤茶色の丸『酸化第二鉄(Fe2O3)』、中央にレーザー光の矢印、右に黒い丸『酸化第一鉄(FeO)』。下に『茶色や赤みのあ

    眉の一部だけ色が残るのはなぜ?

    除去を進めていくと、眉の一部だけ色が残ったり、場所によって色味が違って見えたりすることがあります。眉アートメイクは、一度で仕上げずに重ねて色を入れたり、あとから色を足したりすることがあります。98人の研究でも、化粧タトゥーには複数の層や多様な色素が含まれうると記されています[7]。同じ眉の中でも、場所によって入っている色素の中身が同じとは限らないのです。

    眉頭と眉尻では、色の残り方が違って見えることがあります。残り方の違いには、部位ごとの色素の量や深さ、重ね入れの有無など、さまざまな要因が関わる可能性があります。ただし、どの要因がどの程度影響するかは、研究で確かめられているわけではありません。どこが残りやすいかは人によって異なるため、ほかの人の経過と比べるより、ご自身の眉の前回との違いを見ていくほうが役立ちます。

    そのため、眉全体をひとまとめに見るのではなく、眉頭・眉山・眉尻に分けて観察するのがおすすめです。眉山は、眉のいちばん高くなる部分を指します。部位ごとに、どこに色が残っているか、どんな色味が出ているかを記録しておきましょう。次の照射の前に医師と経過を共有するとき、どこが気になっているのかを具体的に伝えやすくなります。

    眉の線画を1本描き、左から『眉頭』『眉山』『眉尻』の3区画に点線で分けてラベルを付ける。各区画の下に『色の濃さ』『色味』をメモする空欄の枠を置いた、観察用の図。

    何回で薄くなる?研究で報告された平均回数

    回数の目安は、除去を考える方がいちばん気にする点の一つです。顔の化粧タトゥー33人の研究では、満足できる結果までの平均治療回数は3回でした[4]。アイラインと眉76人の研究では平均2.8回です[6]。眉の98人の研究では、98人中70人が治療を完了し、この70人が除去、再施術前に薄くすること、修正という本人の目標を達成するまでに平均3回の照射を受けました[7]。

    仕上がりの評価も示されています。33人の研究では、33人中66%がタトゥーの76〜100%が除去されて『very much improved(非常に改善)』と評価されました。残る33人中34%は51〜75%の除去で『much improved(かなり改善)』という評価でした[4]。76人の研究の内訳は、眉を含む例が55.3%、アイラインが43.4%、両方が1.3%です[6]。98人の研究の対象者は21〜71歳でした[7]。

    ただし、これらは研究の対象者の平均です。ご自身の眉が何回で目標に届くかを、この数字だけで決めることはできません。使われた色素や配合、入っている深さ、レーザーの波長や出力、肌の反応によって経過は変わります。完全に消したいのか、上から描き直せる程度に薄くしたいのかでも、必要な回数は違ってきます。回数の見通しは、診察で実際の眉を見たうえでご案内します。

    毎回の経過は、どこを見比べればいい?

    経過を確かめるには、写真を残しておくと役に立ちます。記憶だけで比べると、その日の光の加減で濃く見えたり薄く見えたりして、変化をつかみにくくなります。撮るときは、同じ部屋、同じ照明、同じ距離と角度にそろえるのがコツです。正面に加えて、左右それぞれの眉を斜めからも撮っておくと、眉頭から眉尻までの残り方が分かりやすくなります。

    見比べるときは、色の濃さだけでなく色味にも目を向けてください。黒や灰色が減って、赤やオレンジ、黄色が目立ってきていないか。左右の眉で差が出ていないか。眉頭、眉山、眉尻のどこに色が残っているか。こうした点を、前回の写真と並べて確認します。濃さは薄くなっていても色味が変わっている、という経過もあるので、両方をあわせて見ることが大切です。

    色だけでなく、肌の状態も記録しておきましょう。98人の眉の研究では、赤み、腫れ、出血点が主な副作用として報告されています[7]。気づいた症状があれば、日付とあわせて記録してください。これは医学的な判定基準ではなく、ご自身で経過を追うための工夫です。写真とメモを診察時に見せていただくと、前回からの変化を医師と一緒に確かめやすくなります。

    白壁の部屋で窓際に立てたリングライト付き三脚と床に伸びる自然光の影

    色の変化に気づいたら、次の診察で相談を

    照射のあと数日のうちに、眉が赤っぽく、あるいはオレンジや黄色に見えてくると、不安になるのは自然なことです。10人の眉の症例報告でも、全員が初回照射から数日以内に色の変化に気づいていました[5]。同じ報告では、色の変化に対する治療を受けた6人で改善がみられています[5]。色味が変わったときも、その後の治療で対応した例があることを知っておくと安心です。

    色が変わったときは、まず写真を撮って様子を記録してください。そのうえで、次回の診察時に変化をお伝えください。黒っぽく濃くなったと感じた場合や、肌の赤み、かさぶたが長引いている場合は、予定の日を待たずにご相談いただくと安心です。照射後のお手入れ方法については、診察時にご案内する内容に従ってください。

    眉アートメイクの除去は、色の変化を見ながら一回ずつ進めていく治療です。途中で色味が変わることを最初から知っておけば、経過に一喜一憂しすぎずに済みます。inklinic では、医師の診察のうえで照射を行います。これまでの施術歴や、どこまで薄くしたいかといったご希望も含めて、気になることがあれば予約時にご相談ください。

    よくある質問

    眉アートメイクのレーザー除去は何回くらいかかりますか?

    海外の研究では、顔の化粧タトゥー33人で満足できる結果までの平均が3回、アイラインと眉76人で平均2.8回、眉98人のうち治療を終えた70人で目標達成まで平均3回と報告されています。ただし色素の種類や深さ、目標によって必要な回数は変わります。回数の見通しは、診察で実際の眉を見たうえでご案内します。

    1回目の照射後に眉がオレンジや黄色っぽくなりました。失敗ですか?

    眉の色素は黒・赤・黄などを混ぜて作られていることがあり、黒の成分が先に減ると赤やオレンジ、黄色が目立つ場合があります。76人の研究では初回治療後に26.3%で、それまで見えなかった色が現れました。変化に気づいたら写真を撮り、次回の診察時にお伝えください。

    レーザーを当てると、逆に色が濃くなることはありますか?

    化粧タトゥーや白、肌色、ピンクがかった赤の色素が、照射直後に黒っぽく濃くなった症例が報告されています。茶色や赤みのある化粧タトゥーに使われる酸化鉄が関わる可能性が示されています。以前に別の色で修正したことがある方は、施術歴を診察時にお伝えください。

    眉頭と眉尻で色の残り方が違うのはなぜですか?

    部位ごとに入った色素の量や配合、深さ、重ね塗りの有無が違えば残り方も変わる、という見方があります。どこが残りやすいかは人によって異なるため、眉頭・眉山・眉尻に分けて写真で見比べ、記録しておくのがおすすめです。

    経過を確認するとき、写真はどう撮ればよいですか?

    同じ部屋、同じ照明、同じ距離と角度にそろえて撮ると、前回との違いが分かりやすくなります。色の濃さに加えて、色味、左右差、眉頭から眉尻までの残り方、肌の赤みやかさぶたも日付とあわせて記録してください。


    参考文献

    1. [1]. J. E. Ferguson, S. M. Andrew, C. J. P. Jones, P. J. August. The Q-switched neodymium:YAG laser and tattoos: a microscopic analysis of laser-tattoo interactions. (British Journal of Dermatology, 1997). doi:10.1046/j.1365-2133.1997.18581951.x. リンク
    2. [2]. Xiao-Jie Du, Hong-Mei Zhou, Zhao Wang, Jing Liu, Jia-Feng Wang, Dong Li, Ting-Ting Wu, Bin Chen, Wei-Hui Zeng. Comparative study of 1064 nm nanosecond, 1064 nm picosecond, 755 nm, and 595 nm lasers for tattoo removal: An essential role by macrophage. (Lasers in Surgery and Medicine, 2022). doi:10.1002/lsm.23535. リンク
    3. [3]. R. R. Anderson, R. Geronemus, S. L. Kilmer, W. Farinelli, R. E. Fitzpatrick. Cosmetic tattoo ink darkening. A complication of Q-switched and pulsed-laser treatment. (Archives of Dermatology, 1993). doi:10.1001/archderm.129.8.1010. リンク
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    5. [5]. Mohammed Ibrahim AlJasser, Yasser A. Ghobara, Abdulaziz Madani, Mohammed G. Turkmani, Fahad M. Alsaif, Ahmed Alissa, Naief Alnomair. Unusual Color Changes of Eyebrow Tattoo after Laser: A Retrospective Case Series. (Photobiomodulation, Photomedicine, and Laser Surgery, 2025). doi:10.1089/photob.2025.0025. リンク
    6. [6]. Elizabeth Kream, Neil Jairath, Shirin Bajaj, David Orbuch, Jordan V. Wang, Roy G. Geronemus. Laser Removal of Eyeliner and Eyebrow Tattoos: Chart Review, Experiences, and Learnings. (Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology, 2023). リンク
    7. [7]. Candice Menozzi-Smarrito, Stéphane Smarrito. Laser Removal of Cosmetic Eyebrow Tattoos with a Picosecond Laser. (Dermato, 2023). doi:10.3390/dermato3030014. リンク

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