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アートメイクは結局なぜ2回なのか。1回目で色の残り方を見る理由
2026年9月24日

色素の定着と、治癒後の残り方の確認
眉やリップのアートメイクは、2回を1セットとして案内するクリニックがあります。色素の定着に加えて、1回目の施術後に色味が落ち着いてから、濃さやデザインを調整するためです[6, 7]。2回目に何を足すかを考えるには、まず治癒後にどのように色が残ったかを確認します。
施術した色は、治った後にそのまま残るわけではありません。動物実験では、表皮とともに失われる色素や、皮膚の中で免疫細胞に取り込まれる色素が報告されています[1, 2]。人の眉やリップに同じ経過をそのまま当てはめることはできませんが、施術直後の見た目だけで最終的な色の残り方を判断しないことが大切です。
この記事では、色素が治癒の途中でどこへ行くのか、色を足す追加施術と、色素を減らす除去治療はどう違うのかを、論文とクリニックの案内を手がかりに説明します。あわせて、2回目までの間隔をあける理由、回数の個人差にも触れます。1回目から2回目までに、どんな変化を確認するかを紹介します。
多くの案内は「定着のため」と書いている
まず、日本のクリニックや業界メディアが2回セットをどう説明しているかを見ておきます。業界メディアのArt+は、2回以上受ける理由として、色素を定着させやすくすること、理想のデザインに近づけること、長持ちしやすくすることを挙げています。2回目は1回目の色味を補い、色味を調整し、デザインを微調整する回だと説明しています[6]。東京イセアクリニックも、初回で入れた色素が徐々に薄くなっていくこと、針によるダメージから回復して色味が落ち着いてから2回目で補正することを案内しています[7]。
これらの案内では、定着だけでなく、治癒後の色味やデザインの調整も説明されています[6, 7]。2回目を相談するときは、薄くなった場所、色味、左右差、形について、1回目からどのように変わったかを伝えると確認しやすくなります。

入れた色素は治癒の途中でどこへ行くのか
「アートメイクは表皮に色を入れるので、肌の生まれ変わりで薄くなる」という説明を目にすることがあります。ただ、この言い方は正確ではありません。長く残って見える色素は主に真皮側にあり、表皮の更新だけで全体の退色を説明することはできません。表皮に残った色素が更新とともに失われるのは事実ですが、それは一部にとどまります。残りの色素の行き先は、皮膚の中の細胞の働きに左右されます。
マウスを使った研究では、施術直後に色素の一部が表皮とともに失われるか、真皮からリンパ管を通じて運ばれることが示されています[1]。長く残る色素粒子は、真皮のマクロファージという免疫細胞の中で確認されました。マクロファージは、体内の異物を取り込んで処理する細胞です。この細胞が死んで色素を放出しても、新しいマクロファージが再び取り込みます。著者らはこの「捕まえて、放して、また捕まえる」仕組みが色素の残存に関わると報告しています[1]。
特定の茶色PMU色材と黒色タトゥーインクを使ったマウスの研究もあります。SKH-1マウスをPMU色材群10匹、タトゥーインク群10匹に分け、1日目、7日目、56日目に皮膚を観察した実験です[2]。PMU色材は1日目に0.04 mm、7日目に0.19 mmの深さで観察され、56日目にはタトゥーインクとの差が0.07 mmでした。著者らは、56日目にはPMU色材の粒子が大きく減っていたと記載しています[2]。いずれも人の眉やリップで測ったものではなく、アートメイク用色材全般を扱った研究でもありません。それでも、この特定の色材については、入れた色の一部が治癒の途中で失われ、残る色素がその後どう変化するかに、皮膚の中の細胞が関わることが示されています。
残る量は人によって違う。数字で見ると
では、色素はどのくらい失われるのでしょうか。手がかりになるのは、年数を経た赤いボディタトゥーの皮膚検体を調べた研究です。9検体のうち5検体で赤色アゾ顔料を同定して量を測ることができ、皮膚内の濃度は平均0.077 ± 0.046 mg/cm²でした[3]。著者らは、施術直後の濃度として引用した0.60から9.42 mg/cm²、平均2.53 mg/cm²と比べ、施術後には87から99%の濃度低下があったと推定しています[3]。
この数字は年数を経た赤色タトゥーの話で、アートメイクの1、2か月後にそのまま当てはめることはできません。それでも、平均0.077 mg/cm²に対して標準偏差が0.046 mg/cm²と、検体ごとの差が大きかったことは注目に値します[3]。この差には、施術からの年数や初期の注入量、色材の種類、部位なども関わっている可能性があります。眉についても、東京イセアクリニックは初回の色素が徐々に薄くなっていくと案内しています[7]。
肌質やアフターケア、紫外線などが残り方に関わるという見方があります。ただし、これらが個人差を生む仕組みを人の眉やリップで直接確かめた研究は限られています。施術前に残り方を決めつけず、治癒後の状態を確認して追加の施術を相談することが大切です。原因別の詳しい話は、姉妹記事「アートメイクの色が定着しないのはなぜ?肌質・ケア・施術の原因別Q&A」で説明しています。
足すのは追加施術、引くのは別の治療
2回目では、色を足したり形を広げたりする調整が中心になります。Art+は、2回目で薄くなった部分を修正し、全体を濃くし、眉を太めにできると案内しています[6]。東京イセアクリニックは、2回目で希望のデザインや濃さを微調整できるが、濃く入った色味を薄くすることはできないとしています[7]。これらの案内から、追加の施術は「足す」方向に働きやすいことがわかります[6, 7]。
色素を減らすには、レーザーなどによる除去治療を検討します。眉の美容タトゥー除去を扱った文献レビューでは、1994年から2023年の11研究、計129人の治療がまとめられています[4]。使われたのはQスイッチNd:YAG、アレキサンドライト、ルビー、ピコ秒、CO2の各レーザーです[4]。アイラインと眉のレーザー除去を行った76人の診療録研究もあります[5]。平均年齢は47歳で、女性が76人中75人、98.7%を占めました。部位は眉が42人(55.3%)、まぶたが33人(43.4%)、両方が1人(1.3%)でした。平均治療回数は2.8回です[5]。
つまり、濃く入った色を薄くしたり、色素が入っている範囲を狭くしたりするには、追加施術とは別の修正・除去治療を検討し、複数回の治療が必要になることもあります。追加と除去では必要な対応が違うため、初回の前に、目指す濃さや形、2回目で調整できる範囲を医療機関に確認しておきましょう。
2回目は、治癒後の状態を見て量とデザインを調整する
2回目は、治癒後の状態に合わせて調整する機会です。1回目の色味が落ち着いてから、薄くなった場所や濃さ、形を確認します。東京イセアクリニックは、初回の発色を見たうえで、2回目以降に希望のデザインや濃さを微調整すると案内しています[7]。
具体的には、薄く抜けた部位に色を足す、左右で残り方に差があれば揃える、色味が想定とずれていれば補正する、輪郭を微調整する、といった作業です。Art+も2回目を、1回目の色味を補い、色味を調整し、デザインを微調整する回と説明しています[6]。東京イセアクリニックは、2回目で発色を見て、希望のデザインや濃さを微調整できると案内しています[7]。実際にできる調整は、残った色素や皮膚の状態、希望する変更によって異なります。
相談の際には、どの場所にどの色を追加するのか、希望する変更が追加施術で対応できるのかを確認しましょう。施術で使われる言葉が気になる方は、姉妹記事「アートメイク用語辞典」も参考にしてください。
2回目まで間隔をあける理由
東京イセアクリニックは、皮膚が針のダメージから回復し、色味が落ち着くのを待つ目安として、初回から1〜1.5か月ほどの間隔を案内しています[7]。施術直後は色が濃く見え、その後は徐々に薄くなりながら落ち着いていくと案内されています[7]。動物実験では、色素の深さや量が56日目まで変化を続けたという報告もありますが、これはマウスの実験であり、人の眉やリップの治癒期間をそのまま示すものではありません[2]。
治りきる前に2回目を入れると、1回目の結果を見るという目的が果たせません。落ち着くまで待つのは、単に安全のためだけでなく、2回目の設計を正しく行うためでもあります。
施術の間隔は、部位や治り方に合わせて医療機関に確認してください。予定より治りが遅い、色ムラが気になる、といった場合も、自己判断で早めに追加せず、施術を受けた医療機関に状態を伝えて時期を相談しましょう。
1回で終える人、3回目が要る人
2回セットの案内があっても、回数には個人差があります。東京イセアクリニックは、1回で満足する人もいるため回数には個人差があると記載しています[7]。1回目の残り方が均一で、色味も形も希望に近ければ、2回目を小さな調整にとどめる選択も考えられます。逆に、抜けが大きい、左右差が残る、色味をもう一段補正したい、という場合は、3回目の追加が候補になります。
ただし、追加施術は色を足す方向の調整です。東京イセアクリニックも、一度濃く入った色味を薄くすることはできないと説明しています[7]。薄くする、色素が入っている範囲を狭くするなどの希望は、レーザーなど別の治療を検討することになります[4, 5]。希望する変更がどの方法で可能かは、医療機関で相談してください。
治っていく途中の写真を撮って残しておくと、2回目の相談で色の変化を確認しやすくなります。気になる点は施術を受けた医療機関に伝えてください。
2回セットの料金や、3回目以降の追加施術の扱いは、クリニックによって異なります。予約前に、セットに含まれる施術回数と期間、追加施術の料金や条件を確認しておきましょう。
よくある質問
アートメイクはなぜ1回で終わらないのですか?
施術直後の色は、そのまま残るとは限りません。治癒後に色味が落ち着いてから、薄くなった場所や濃さ、形を確認し、2回目で必要な調整を相談します。ただし、必要な回数には個人差があり、必ず2回で終わるわけではありません。
1回目の後に色が薄くなったのは失敗ですか?
治癒の途中で色が薄くなったり、ムラに見えたりすることはあります。薄く見えることだけで失敗とは判断できませんが、意図的に薄く入れたためとも限りません。色味が落ち着いた後にどんな調整ができるか、施術を受けた医療機関に相談してください。
2回目はいつ受ければよいですか?
東京イセアクリニックは初回から約1〜1.5か月後を目安として案内しています。これは特定の施設の案内で、全員に共通する日数ではありません。皮膚が回復して色味が落ち着いたかを踏まえ、施術を受けた医療機関に時期を確認してください。
濃く入りすぎたら2回目で薄くできますか?
追加施術では基本的に太く、濃くする方向の調整になり、薄く、細く、短くすることはできません。薄くするにはレーザーなど別の治療が必要で、眉やアイラインの除去を行った76人の研究では平均2.8回の治療が報告されています。当院はアートメイクと除去の両方を扱っているため、どちらもご相談いただけます。
参考文献
- [1]. Anna Baranska, Alaa Shawket, Mabel Jouve, Myriam Baratin, et al.. Unveiling skin macrophage dynamics explains both tattoo persistence and strenuous removal. (Journal of Experimental Medicine, 2018). doi:10.1084/jem.20171608. リンク
- [2]. Eleni Andreou, Sophia Hatziantoniou, Efstathios Rallis, Vasiliki Kefala. Why Permanent Makeup (PMU) Is Not a Lifetime Application. (Cosmetics, 2024). doi:10.3390/cosmetics11050160. リンク
- [3]. K. Lehner, F. Santarelli, R. Penning, R. Vasold, E. Engel, T. Maisch, K. Gastl, B. König, M. Landthaler, W. Bäumler. The decrease of pigment concentration in red tattooed skin years after tattooing. (Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2011). doi:10.1111/j.1468-3083.2011.03987.x. リンク
- [4]. Amaris N. Geisler, Ariel Eber, Karen Kim, Kenneth A. Arndt. Lasers for the treatment of eyebrow microblading and cosmetic tattoo pigment: a review of the literature. (Lasers in Medical Science, 2023). doi:10.1007/s10103-023-03921-z. リンク
- [5]. Elizabeth Kream, et al.. Laser Removal of Eyeliner and Eyebrow Tattoos: Chart Review, Experiences, and Learnings. (Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology, 2023). リンク
- [6]. Art+編集部. アートメイクは2回目を受けなきゃダメ?いつ受けるべき?施術タイミングも解説. (Art+, 2025). リンク
- [7]. 柴田佳奈. アートメイクの2回目はいつが良い?眉毛など部位別のタイミングを紹介. (東京イセアクリニック, 2024). リンク
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