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    アートメイクの道具図鑑でわかるマシン式と手彫り式の違い

    2026年9月21日

    Medical ColumnTokyo Ueno
    アートメイクの道具図鑑でわかるマシン式と手彫り式の違い

    まず道具の全体像をつかむ

    アートメイクは、眉やアイライン、リップラインなどの化粧の見た目を、皮膚に色素を入れて作る施術です[6]。医学の言葉ではマイクロピグメンテーションと呼ばれます。電気で動く針で真皮に細かな色素の粒を均一に入れる方法と定義される一方[2]、手動の器具と積層針のブレードを使い、浅い層である乳頭真皮に色素を入れる方法もマイクロピグメンテーションの一種として説明されています[3]。真皮は表皮の下にある層で、ここに色素が入ると日常の洗浄では簡単には落ちません。ただし、入れる深さや技法によって色の残り方は異なります。厚生労働省の通知では、アートメイクは一定の侵襲性を伴い安全性の確保が重要であるため、施術自体が医行為に該当するとされています[1]。施術は医師、または医師の指示のもとで診療の補助を行う看護師等が行います[9]。

    使う道具は、大きく分けると次のようになります。色を入れる電動マシンとカートリッジ、手動の器具と先端のブレード、皮膚に入れる色素があります。さらに、眉の位置を測るスケールや消毒用品などの周辺道具も使います[2, 3]。レビュー論文では、機器として従来型のタトゥーマシンと医療用の専用機器の両方が挙げられています[2]。この記事では、この分け方に沿って一つずつ見ていきます。名前を聞いたことがある道具も、役割から確認できます。

    アートメイクの道具を系統図で示す。中央に「アートメイクの道具」、そこから4本の枝:①マシン式(本体/カートリッジ)、②手彫り式(マイクロブレーディングペン/ブレ

    マシン式の道具、本体とカートリッジ

    マシン式のアートメイクは、電気で駆動する針を使います[2]。過去の研究をまとめた論文には、コイル式のマシンやペングリップ型の振動機器が紹介されています[2]。トルクや深さ、時間をデジタルで制御できる電子機器も挙げられています[2]。針は本体に直接付けるのではなく、カートリッジと呼ばれる部品に収められる場合があります。この論文では、滅菌して繰り返し使える設計のカートリッジを備えた機器も紹介されています[2]。使う機器の添付文書と、医療機関の感染対策の内容は、個別に確認してください。

    針がどれくらい深く入るかは、マシン式を理解するうえで大切な点です。米国FDAの業界向けガイダンスによると、一般的なタトゥーでは針が毎秒約100回表皮を刺します[8]。皮膚表面から1.5〜2 mmの真皮にインクが入ります[8]。ただし同じガイダンスは、タトゥーやパーマネントメイクでは部位とデザインの意図によって、色素を入れる深さが大きく異なり得るとも注記しています[8]。深さや角度、皮膚の抵抗、針が触れている時間は、レビュー論文でも結果を左右する変数として挙げられています[2]。

    マシンを使う場合も、仕上がりにはさまざまな要素が関わります。針の本数や太さ、速度、色素、皮膚の状態、そして施術者の技術が組み合わさって決まります[2, 5]。レビュー論文では、毛を模した線を手彫りで作り、その背景に陰影を加える目的でマシン駆動の針を組み合わせる方法も紹介されています[4]。道具の種類だけで仕上がりが決まるわけではなく、道具をどう使うかが結果を左右します。

    青い手袋の手が回転式アートメイクマシンとカートリッジを持つ白い施術室の接写

    手彫り式の道具、マイクロブレーディングペンとブレード

    手彫り式は、マイクロブレーディングという名前で知られています。レビュー論文では、積層した針から成るブレードを装着した手動器具で、色素を乳頭真皮まで入れる表層的なマイクロピグメンテーションと説明されています[3]。乳頭真皮は真皮の中でも表皮に近い浅い層です。特殊なブレードを手で動かし、皮膚表層の小さな切開部に濃い色素を入れて、自然な毛を模した線を作ります[4]。くっきり分かれた毛のような線を並べて、眉毛に似た見た目を目指す方法です[3]。

    道具は、電源がいらないぶんシンプルです。レビュー論文には、眉の計測用スケール、手動のマイクロブレーディングペン、色素を入れるインクホルダーが紹介されています[3]。ペンの先に付けるブレードが、いわばマシン式のカートリッジに当たる部品です。針を並べた形をしており、これを軽く引くことで細い線が入ります。インクホルダーは色素を入れておく容器で、ペン先に色を付ける動作を手元で済ませられる道具です。

    毛を模した線は時間とともに薄くなり、再施術が必要になる場合があると報告されています[4]。ただし、色の残り方を深さだけで説明することはできず、色素や皮膚の状態、技法なども関わります[2]。リタッチの時期は一律に決めず、経過を見ながら相談してください。予約の前に、リタッチの目安や料金、次回受診の流れを医療機関に確認しておくと、見通しが立てやすくなります。

    青い滅菌ドレープに置かれた手彫り用マイクロブレーディングペンとリング状色素カップ

    針とブレードの形の見方

    手彫り式のマイクロブレーディング用ブレードは、複数の針を積み重ねて並べた構造です[3]。マシン式のカートリッジは、単針のものも複数針のものもあります[2]。針の形は仕上がりを分ける大きな要素です。美容・医療タトゥーでは針、マシン、技法が高度化しており、施術者の判断と組み合わせて結果を作る、とレビュー論文は述べています[5]。針の種類としては、ラウンド、フラット、トライアングル、マグナム、ナノ、研磨針、テクスチャード針などが挙げられています[5]。名前は、針をどう束ねているか、先端をどう加工しているかを表しています。

    名前は一般に、針の並べ方や先端の加工の違いを表すとされますが、具体的な配列や加工の基準はメーカーによって異なる場合があります。針の角度、鋭さ、深さ、形状、本数、太さも、結果に影響する変数として挙げられています[2]。針の本数と配列そのものの詳しい表は、別の記事でまとめています。この記事では、名前の種類と大まかな傾向を知るところまでを目標にしてください。

    針配列の断面図。横並びに5つの円形パネルを置き、それぞれにラウンド(小さな点を円形に配置)、フラット(点を一列に配置)、マグナム(点を二段に交互配置)、トライア

    色素の役割と、確認しておきたい情報

    色素は、皮膚に入れて色を表すための材料です。FDAは、色素を水などと混合した着色液がアートメイクのインクだと説明しています[6]。ただし、米国FDAは、化粧目的で皮膚へ注入する色素を認可していません[6]。『FDA認可の色素』という言い方を見かけたら、それは皮膚注入用の認可を意味するものではないと理解してください。色素の安全性はブランド名だけで判断できるものではありません。持病やアレルギーが気になる場合は、医療機関に相談してください。

    未開封のインクも、無菌とは限りません。米国で市販されていたアートメイク用インクを、2022年の研究で調べました。9社から入手した未開封の47本のうち、5社の9本、つまり47本中9本(19%)から微生物が検出されました[7]。汚染量は8本で250 CFU/g未満、1本で980 CFU/gでした[7]。CFUは培養で数えた菌の集まりの数です。前の2回の調査結果と合算すると、76本中23本(30%)に微生物が含まれていたと報告されています[7]。FDAも、密封・未開封のインクにも細菌などの微生物が含まれる場合があると記載しています[6]。

    こうした報告も踏まえ、使用する色素の情報を確認しておく必要があります。アートメイクでは色素が皮膚を通して体内に入るため、汚染された製品による有害事象のリスクが高くなる、とFDAのガイダンスは説明しています[8]。だからFDAは、施術後に反応が起きた場合に備えて、インクや希釈液のブランド、色、ロット番号またはバッチ番号を確認するよう案内しています[6]。何かあったときにすぐ確認できるよう、使った色素の名前や色番、ロット番号を医療機関に尋ねておくと安心です。

    計測と衛生を支える周辺道具

    色を入れる道具のまわりには、下準備と衛生を支える道具があります。手彫り式のレビュー論文では、眉の計測用スケールが器具の一つとして紹介されています[3]。左右の眉の位置や長さ、山の高さを測って、施術前に下絵を描くための道具です。マシン式の手技例でも、施術部位を消毒してマーキングする工程が最初にあります[2]。この下絵を作る工程はマッピングとも呼ばれます。仕上がりを決める段階なので、鏡を見ながら希望を伝え、納得できるまで線を直してもらいましょう。

    衛生に関わる道具には、消毒用品や滅菌された器具・部品が含まれます。FDAは、衛生的でない器具や滅菌されていない器具に加え、細菌やカビに汚染されたインクも感染の原因になり得るとしています[6]。器具の衛生と色素の管理は、別々の問題として両方を見る必要があります。管理の方法は機器や医療機関によって異なるため、添付文書と感染対策の内容を予約時や当日に確認しておくと安心です。当日、器具がどのように管理されているか聞いてみるのも一つの方法です。

    道具の選択はどう決まるのか

    道具は、施術者が皮膚の状態や希望する仕上がりに合わせて選びます。レビュー論文は、針、マシン、技法が高度化した現在でも、それらを施術者の判断と組み合わせて結果を作ると述べています[5]。針の角度、鋭さ、深さ、形状、本数、太さ、皮膚抵抗、接触時間、ローターのトルクと速度、色の組み合わせ、これだけの変数が一回の施術に関わります[2]。同じカートリッジを使っても、皮膚の状態が違えば設定は変わります。道具の種類に加え、設定や使い方も仕上がりを左右します。料金を比べる際には、道具の種類だけで判断せず、施術回数やリタッチを含む条件をそろえて、医療機関の料金表や見積もりを確認してください。

    患者が事前に確認しておきたい点

    最後に、患者として事前に聞いてよい点をまとめます。一つは色素です。使う予定の色素の名前、色番、ロット番号は、施術後に何かあったときの手がかりになります[6]。持病やアレルギーがあれば、事前に医療機関に相談してください。二つ目はカートリッジです。使用するカートリッジが使い捨てなのか、滅菌して再使用するものなのかは、確認してよい点です[2]。管理方法がはっきり説明されるかどうかも、判断の材料になります。こうした点を気軽に聞ける医療機関を選ぶと、施術全体への安心感が増します。

    よくある質問

    アートメイクのマシン式と手彫り式は、道具の何が違うのですか?

    マシン式は電気で針を動かす本体を使い、カートリッジを装着する機器もあります。手彫り式は、複数の針から成るブレードを付けたペンを手で動かします。主な違いは針を動かす仕組みです。どちらも真皮に色素を入れる方法で、深さは器具の名前だけでは決まらず、技法や部位、設定などによって異なります。

    マシン式ならパウダー眉、手彫り式なら毛並み眉になりますか?

    道具の名前だけで仕上がりが一つに決まるわけではありません。針の構成、深さ、速度、色素、皮膚の状態、施術者の技術が組み合わさって結果が変わります。希望の写真を見せて、どの道具でどう作るかを説明してもらうのが確実です。

    施術前に道具について確認しておくべきことは何ですか?

    使う色素の名前、色番、成分資料、ロット番号が記録されるか、患者ごとに新しく滅菌された針やブレードを使うかを確認してください。リタッチが必要になる場合に備え、時期の目安や料金、受診の流れもあわせて相談しておきましょう。


    参考文献

    1. [1]. 厚生労働省医政局医事課長. 医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて. (厚生労働省, 2023). リンク
    2. [2]. Amit S Kerure, Manjot Marwah, Nitika Deshmukh Wagh, Satish Udare. Micropigmentation. (Indian Dermatology Online Journal, 2023). doi:10.4103/idoj.idoj_767_21. リンク
    3. [3]. Manjot Kaur Marwah, Amit S Kerure, Gurjot S Marwah. Microblading and the Science Behind it. (Indian Dermatology Online Journal, 2021). doi:10.4103/idoj.IDOJ_230_20. リンク
    4. [4]. Diana Hvas, Jørgen Serup. Microblading Technique for Tattooing of "Hairstrokes" That Simulate Natural Hair: Eyebrow Tattooing and Correction of Medical Conditions. (Current Problems in Dermatology, 2022). doi:10.1159/000529810. リンク
    5. [5]. Maja Ercegovac. Needle Configuration and Application in Cosmetic and Medical Tattooing. (Current Problems in Dermatology, 2022). doi:10.1159/000526194. リンク
    6. [6]. U.S. Food and Drug Administration. Think Before You Ink: Tattoo Safety. (U.S. Food and Drug Administration, 2024). リンク
    7. [7]. Sunghyun Yoon, Sandeep Kondakala, Seong Won Nho, Mi Sun Moon, Mei Chiung J Huang, Goran Periz, Ohgew Kweon, Seongjae Kim. Microbiological Survey of 47 Permanent Makeup Inks Available in the United States. (Microorganisms, 2022). doi:10.3390/microorganisms10040820. リンク
    8. [8]. U.S. Food and Drug Administration. Insanitary Conditions in the Preparation, Packing, and Holding of Tattoo Inks and the Risk of Microbial Contamination: Guidance for Industry. (U.S. Food and Drug Administration, 2024). リンク
    9. [9]. 厚生労働省. ・美容医療に関する取扱いについて(◆令和07年08月15日医政発第815021号). (厚生労働省, 2025). リンク

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