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アートメイク後にやってはいけないことはいつまで続く?洗顔・運動・水場の目安
2026年9月14日

施術直後の皮膚は、ごく浅い傷が集まった状態
アートメイクは、眉やアイライン、リップなどの皮膚に、針で色素を入れる施術です。厚生労働省は、眉毛や毛髪、乳輪乳頭を描く行為や、アイライン・チーク・リップなど化粧に代替しうる装飾を描く行為をアートメイクとして示しています[1]。針で皮膚に色を入れる以上、施術直後の皮膚は、ごく浅い傷がたくさん並んだ状態と考えるのが分かりやすいです。施術後の制限は、この小さな傷を守るためにあります。
皮膚の急性の傷が治る流れは、皮膚科学の総説で、炎症期、増殖期、リモデリング期という重なり合う段階として説明されています[2]。別の総説では、滲出期、増殖期、細胞外マトリックスのリモデリング期と呼ばれています[3]。呼び名には違いがありますが、傷を守り、組織が形成され、その後に整っていくという流れは共通しています。アートメイク後の制限も、この順番に沿って考えると理解しやすくなります。
制限の期間は、一律には決まりません。医療機関の患者向け資料を見ると、運動を少なくとも24時間避ける案内[6]、最初の48時間避ける案内[4]、プールやサウナを1週間避ける案内[6]、2週間避ける案内[4]、完全に治るまで避ける案内[5]と幅があります。日数の差は、部位や手技、資料が対象とする施術の違いによるものです。この記事では、その幅を段階ごとに見ていきます。
皮膚が治る段階と、日数だけで決められない理由
傷ができた直後、止血と炎症反応が始まり、最初の24時間のうちに好中球などが傷へ集まります[2]。これは傷の治癒に関する一般的な説明です。アートメイク後の洗浄や被覆の方法を、この時間だけで決めることはできません。施術した医療機関のケア指示を確認してください。
再上皮化は、皮膚の表面を作る細胞が傷を覆っていく過程です。総説には受傷後16〜24時間から始まるという記載があり[2]、別の総説では、組織形成や再上皮化を含む増殖期が最初の48時間以内に始まり、14日目まで続きうるとされています[3]。これらは一般的な創傷の経過で、眉やアイライン、リップのかさぶたが同じ日に取れると示したものではありません。
その後のリモデリング期は、組織が整っていく段階です。開始時期や期間には幅があります[2, 3]。ただし、この段階からアートメイクの最終的な色や運動の再開日を直接決めることはできません。皮膚の回復、ケアの制限、色の評価は、それぞれ施術先に確認する必要があります。
最初の数日は、部位ごとの洗い方と触れ方を確認
施術直後のケア方法は、資料が対象とする部位によって異なります。眉のマイクロブレーディングについての査読論文では、最初の48時間は眉に触れること、激しい運動、水との接触を避けると記載しています[4]。医療用タトゥーの患者資料では、施術部位を60〜72時間乾いた状態に保ち、シャワーの直接の水流と浴槽での浸水を避けるよう案内しています[5]。眉の手技と医療用タトゥーでは対象が異なるため、48〜72時間をすべてのアートメイクに共通する禁止期間とは考えないでください。
シャワーの使い方については、条件つきで認める資料もあります。乳輪・乳頭の医療用マイクロピグメンテーションの資料では、シャワーは可能としつつ、最初の24時間は施術部位に直接シャワーを当てないよう案内しています[6]。別の乳輪・乳頭の医療用タトゥー資料では、24時間は被覆材を付けて濡らさず、その後は入浴やシャワーをしてもよいものの、清潔なタオルでこすらず押さえて乾かすよう案内しています[7]。避けるべきは、直接の水流、長時間の浸水、こすることであり、体を洗うこと自体ではありません。
この時期には、赤みや腫れ、リンパ液や血液のにじみが数日間みられることがあります[6]。乳輪・乳頭の資料では、軽い腫れや赤み、不快感は皮膚の敏感さにより1〜7日で改善するとされています[7]。にじんだ液体は、清潔な状態で軽く押さえる程度にとどめます。気になって触ったり、こすったりせず、洗浄や被覆材の交換は施術先から教わった方法で行ってください。
洗顔料とメイクの再開日は、施術部位ごとに確認
洗顔料の再開時期は、資料によって少し違います。マイクロブレーディングの論文では、最初の1週間はメイクを避け、洗顔料は1週間後から開始すると記載しています[4]。医療用タトゥーの資料では、化粧品や石けん、洗顔料などは部位が完全に治るまで使わず、その目安を5〜10日としています[5]。同じ資料では、通常のスキンケアに戻るのは完全に治った後で、通常は10日後としています[5]。
マイクロブレーディングの論文では、最初の1週間にかさぶたやかゆみがみられること、かさぶたを剥がすと感染につながりうることが説明されています[4]。洗顔料やメイクを再開する際も、塗る・落とす動作で治癒中の部位をこすらないことが大切です。ただし、制限の理由を摩擦だけに限定したり、かさぶたが取れればどの製品でも使えると判断したりしないでください。
施術部位を避けて周囲を洗えるかどうかも、部位や手技によって異なります。アイラインやリップは洗顔やクレンジングで触れやすいため、具体的な洗い方を確認してください。使う製品と開始日は、施術した医療機関に確認しましょう。

運動とジムはいつから
運動の再開時期は、資料の間で「24時間」から「48時間」に分かれます。乳輪・乳頭の医療用資料では、ジムは施術後少なくとも24時間避けるよう案内しています[6]。眉のマイクロブレーディングの論文では、最初の48時間は激しい運動を避けると記載しています[4]。乳輪・乳頭向けの日数を顔にそのまま当てることはできません。眉のマイクロブレーディングの48時間という案内も、アイラインやリップにそのまま適用できる日数ではありません。
運動中には汗をかいたり、タオルで顔を拭いたりして、治癒中の部位に触れることがあります。眉のマイクロブレーディングの論文は、最初の48時間は激しい運動を避けるよう案内しています[4]。ただし、汗や摩擦それぞれの影響や、どの運動強度なら安全かを、この論文から数値で判断することはできません。
再開日は、施術部位と予定している運動を伝えて確認してください。散歩と汗を多くかくトレーニングを同じ条件で考える必要はありませんが、「2日たてばどの運動でもよい」とは限りません。運動の予定が決まっている場合は、予約前に施術先へ相談しておくと日程を調整しやすくなります。
プール、海、サウナ、温浴施設は最後まで待つ
プールやサウナなどは、ほかの活動よりも再開を長く待つ必要があります。マイクロブレーディングの論文では、水泳、スチーム、サウナは2週間後から開始するとしています[4]。医療用タトゥーの資料では、塩素処理されたプール、スパ、ジャグジーは部位が完全に治るまで入らないよう案内しています[5]。別の資料では、化学物質を含むプールはかさぶたがすべて自然に取れるまで避けるよう記載し[7]、乳輪・乳頭向けの資料ではプールとサウナを1週間避けるとしています[6]。対象とする部位や案内が異なるため、一般的な創傷の増殖期から再開日を一律に決めることはできません。
米国CDCは、開いた傷がある場合はプールや海などの水に入らないよう勧めています[8]。水との接触で病原体などにさらされることがあるためです。アートメイク後も、日数だけで判断せず、傷の状態と施術先の指示を確認してください。
眉のマイクロブレーディングの論文では、サウナやスチームも水泳と同じく2週間後からとされています[4]。温泉や銭湯を含め、長く水につかる予定がある場合は、施術部位が十分に治っているか、いつから利用できるかを医療機関に確認してください。
早く再開すると、何が起きうるか
注意したいことの一つは、色の抜けです。医療用タトゥーの資料では、かさぶたを触ると色が取れると明記しています[5]。乳輪・乳頭向けの資料も、かさぶたを剥がす、または引っ張ると色が失われるとしています[6]。色素を入れた皮膚を覆うかさぶたが、水でふやけて早くはがれたり、洗顔で引っかかってめくれたりすると、色の抜けにつながるおそれがあります。
もう一つは感染です。マイクロブレーディングの論文は、かさぶたを剥がすと感染につながりうると述べています[4]。タトゥー後の細菌感染についての系統的レビューでは、1984〜2015年に発表された27報から、抗酸菌を除く細菌感染67例が抽出されました[9]。局所の皮膚感染だけでなく、膿瘍や壊死性筋膜炎、心内膜炎、敗血症性ショックといった重い報告も含まれています[9]。著者らは、不適切な衛生対策と非医療的な創傷ケアを、タトゥー関連感染の主要なリスク因子と結論づけています[9]。67例は文献上の症例数で、施術を受けた人全体の感染率ではありません。個々の行動が感染を起こす確率を示した研究ではありませんが、衛生管理と適切な術後ケアを重視する根拠になります。
感染のサインは知っておく価値があります。医療用タトゥーの資料では、赤み、熱感、湿り、炎症がある場合は感染の可能性があるとして、医療機関への連絡を案内しています[7]。乳輪・乳頭の資料では、施術直後の軽い赤みや腫れは1〜7日で改善するとされています[7]。日がたつほど赤みが強くなる、熱を持つ、じゅくじゅくしてくる、という変化は、通常とは逆向きです。その場合は自分で判断せず、施術した医療機関に早めに連絡してください。
皮膚が治る日と、色が落ち着く日は別
制限が解けても、色はまだ完成ではありません。乳輪・乳頭の医療用タトゥー資料では、治癒、剥離、退色の経過を14〜21日とし、色調は4〜6週間後に落ち着くとしています[7]。乳輪・乳頭向けの資料でも、最終的な色は4〜6週間の治癒過程を経て見えると記載しています[6]。これらは乳輪・乳頭の施術後の目安で、顔のアートメイクにも同じ日数の差があると示したものではありません。
一般的な傷では、表面が閉じた後も組織の修復が続きます[2, 3]。ただし、その過程だけでアートメイクの色が落ち着く時期を説明できるわけではありません。乳輪・乳頭の患者資料では、剥離と退色も治癒の経過として説明されています[7]。かさぶたが取れた直後の色だけで、追加施術の要否を決めないようにしましょう。
乳輪・乳頭の資料では、色を評価する目安は4〜6週間後です[6, 7]。顔のアートメイクで色の評価やリタッチを行う時期は、施術先に確認してください。途中の色で判断すると、必要のない追加や、逆に必要な調整の見落としにつながります。皮膚が治ってからも、色が落ち着くまで待つ必要があります。
最終的な目安は、施術した医療機関が決める
この記事の日数は、皮膚科学の総説と、海外の医療機関が患者向けに配っている資料から引いたものです。眉の論文[4]、医療用タトゥーの資料[5]、乳輪・乳頭の資料[6, 7]と、対象が違います。乳輪・乳頭向けの日数を、眉やアイライン、リップにそのまま当てることはできません。同じ「1週間」でも、何を対象に書かれたかで意味が変わります。
日本では、アートメイクは医師が行わなければ保健衛生上の危害を生ずるおそれがある医行為とされています[1]。施術した医療機関では、担当者が用いた手技や色素、施術時の皮膚の状態を確認できます。洗顔料や保湿剤、軟膏、メイク用品を何にするか、いつから使うかは、部位や手技、既往症、術後の所見で変わります。一般の目安と医療機関の指示が違ったら、迷わず医療機関の指示を優先してください。
大きな予定や旅行、プール、サウナ、運動の予定がある方は、予約時に具体的な日程を伝えてください。眉のマイクロブレーディングでは水や激しい運動を最初の48時間避ける案内がありますが[4]、ほかの手技や部位の再開日は別に確認が必要です。洗顔・メイク・運動・水場の再開日と、色を評価する時期を分けて確認し、当日はご自身の施術に合った案内を受けてください。
よくある質問
アートメイク後、洗顔はいつからできますか?
眉のマイクロブレーディングの論文では洗顔料は1週間後から、医療用タトゥーの患者資料では部位が完全に治るまで(目安5〜10日)としています。施術部位を避けた洗顔は早期から可能な場合がありますが、製品と開始日は施術した医療機関の指示を優先してください。
アートメイク後の運動はいつから再開できますか?
眉のマイクロブレーディングの論文では最初の48時間は激しい運動を避けるとしています。乳輪・乳頭の医療用タトゥー資料には少なくとも24時間という案内もありますが、対象が異なります。アイラインやリップを含め、運動の内容と施術部位を伝えて、施術先に再開日を確認してください。
プールやサウナ、温泉はいつから大丈夫ですか?
眉のマイクロブレーディングの論文では水泳・スチーム・サウナは2週間後からとされています。医療用タトゥーの資料には完全に治るまで、またはかさぶたが自然に取れるまでという案内もあります。CDCも開いた傷がある場合は水に入らないよう勧めています。日数だけで判断せず、ご自身の部位と皮膚の状態に合う再開時期を施術先に確認してください。
目安より早くやってしまったら何が起きますか?
かさぶたを触ったり剥がしたりすると色の抜けにつながるおそれがあり、感染についても注意が必要です。ただし、予定より早く洗ったことだけで異常が起きたと決まるわけではありません。日がたつほど赤みが強くなる、熱を持つ、じゅくじゅくする場合は、施術した医療機関に早めに連絡してください。
色が落ち着くのはいつですか?
乳輪・乳頭の医療用タトゥー資料では、治癒・剥離・退色の経過は14〜21日、最終的な色調は4〜6週間後に落ち着くとしています。顔のアートメイクにそのまま当てはまる日数ではありません。制限が解ける時期と色を評価する時期は別なので、色の評価やリタッチの時期は施術先に確認してください。
参考文献
- [1]. 厚生労働省医政局医事課長、厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課長、経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課長. 美容所等におけるアートメイク施術について. (厚生労働省, 2025). リンク
- [2]. Luis Cañedo-Dorantes、Mara Cañedo-Ayala. Skin Acute Wound Healing: A Comprehensive Review. (International Journal of Inflammation, 2019). doi:10.1155/2019/3706315. リンク
- [3]. Ana Cristina de Oliveira Gonzalez、Tila Fortuna Costa、Zilton de Araújo Andrade、Alena Ribeiro Alves Peixoto Medrado. Wound healing - A literature review. (Anais Brasileiros de Dermatologia, 2016). doi:10.1590/abd1806-4841.20164741. リンク
- [4]. Manjot Kaur Marwah、Amit S. Kerure、Gurjot S. Marwah. Microblading and the Science Behind it. (Indian Dermatology Online Journal, 2021). doi:10.4103/idoj.IDOJ_230_20. リンク
- [5]. University Hospitals of Leicester NHS Trust Plastic & Reconstructive Surgery. Medical tattooing (micropigmentation) aftercare. (University Hospitals of Leicester NHS Trust, 2023). リンク
- [6]. Worcestershire Acute Hospitals NHS Trust. Semi-permanent Micro Pigmentation of Nipple/Areola Complex and after care advice. (Worcestershire Acute Hospitals NHS Trust, 2023). リンク
- [7]. The Dudley Group NHS Foundation Trust Breast Care Unit. Medical tattooing – aftercare advice. (The Dudley Group NHS Foundation Trust, 2024). リンク
- [8]. National Center for Emerging and Zoonotic Infectious Diseases、National Center for Environmental Health. Preventing Swimming-related Illnesses. (Centers for Disease Control and Prevention, 2025). リンク
- [9]. Ralf Dieckmann、Ides Boone、Stefan O. Brockmann、Jens A. Hammerl、Annette Kolb-Mäurer、Matthias Goebeler、Andreas Luch、Sascha Al Dahouk. The Risk of Bacterial Infection After Tattooing: A Systematic Review of the Literature. (Deutsches Ärzteblatt International, 2016). doi:10.3238/arztebl.2016.0665. リンク
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