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カラータトゥー(赤・青・緑)の除去が難しい理由
2026年6月25日
タトゥー除去では、黒のインクに比べて赤・青・緑などのカラータトゥー除去が難しいとされています。これは、色素ごとに吸収しやすいレーザーの波長が異なるためです。この記事では、色と波長の関係から、反応しにくい色への対応、ピコレーザーの役割、そして残りやすい色の現実までを、落ち着いた視点で解説します。色付きタトゥーの除去には複数回の治療が必要になることが多く、効果や経過には個人差があります。
色と波長の関係|タトゥーの色素はレーザーの波長を選ぶ
タトゥー除去にレーザーが用いられるのは、色素がレーザーの光を吸収し、その熱や衝撃で細かく砕かれる仕組みを利用しているためです。ここで重要になるのが「波長」です。色素にはそれぞれ吸収しやすい光の波長があり、レーザーの波長をその色素に合わせることで、はじめて効率よく反応させることができます[1]。
色素は、おおまかにいえば自分の色の補色にあたる波長の光を吸収します。たとえば黒の色素は幅広い波長を吸収するため比較的扱いやすく、波長1064nm前後のレーザーがよく用いられます。一方、赤の色素には波長532nm前後が適しているとされ、色ごとに使う波長を変える必要があります[1][3]。
つまり、カラータトゥー除去では「すべての色を一つの波長でまとめて消す」ということができません。色付きタトゥーは複数の色素が混ざっていることも多く、それぞれに合った波長で根気よくアプローチしていく必要があります。このため、黒一色のタトゥーよりも治療の難易度が上がりやすいのです。
| レーザー波長 | 光の色 | 反応しやすいインク | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 532nm | 緑 | 赤 | 易しい |
| 694 / 755nm | 赤 | 青・緑 | 中〜難しい |
| 1064nm | 赤外 | 黒 | 易しい |
黄・白・淡色は反応しにくく、レーザーで黒変することもあります。
反応しにくい色|緑・青・黄と複数波長での対応
色のなかには、レーザーに反応しにくいとされるものがあります。代表的なのが緑・青・黄などで、これらは適した波長が限られているため、黒や赤に比べて砕けにくい傾向があります[3][4]。同じ回数の治療でも、色によって薄まり方に差が出やすいのはこのためです。
こうした反応しにくい色に対応するため、実際の治療では複数の波長を使い分けることが一般的です。青や緑の色素には、波長694nmや755nm系のレーザーが用いられることが多いとされています[1][3]。タトゥーに含まれる色の構成を診察で確認したうえで、波長を組み合わせて計画を立てていきます。
それでも、色によっては期待したほど薄くならないこともあります。反応のしやすさには色素の種類や入れられた深さ、肌の状態なども関わるため、効果や経過には個人差があります。実際にどの色がどの程度薄くなりそうかは、カウンセリングで一人ひとりの状態を見ながら見通しを共有していくことになります。
ピコ秒レーザーによる青・緑への対応
従来反応しにくいとされてきた青や緑に対して、近年注目されているのがピコ秒レーザー、いわゆるピコレーザーです。ピコレーザーは、ごく短い時間で強いエネルギーを色素に与えることで、色素をより細かく砕きやすいと考えられています。
実際に、波長755nmのピコ秒レーザーを用いて、青や緑の色素に対し良好な反応が得られたとする報告があります[2]。これにより、これまで薄くしにくかった色付きタトゥーにも対応の幅が広がってきました。とはいえ、ピコレーザーであっても一度で消えるわけではなく、複数回の治療を重ねていくことが前提になります。
ピコレーザーは万能ではなく、色や個人差によって反応の度合いは変わります。どのレーザーをどのように用いるかは、タトゥーの色や状態を診察で確認したうえで判断するものであり、機器の種類だけで結果が決まるわけではない点はご理解いただきたいところです。
残りやすい色の現実|完全除去は保証できません
カラータトゥー除去で正直にお伝えしておきたいのは、色によっては薄くなりきらず残りやすいものがある、という点です。緑・青・黄などの反応しにくい色は、治療を重ねても完全には消えないことがあります[3][4]。これは技術や努力の問題というより、色素そのものの性質によるところが大きいといえます。
また、白や肌色などの淡い色を含む顔料は注意が必要です。これらはレーザーを当てると、かえって黒っぽく変色(黒変)したり、ほとんど反応しなかったりすることが報告されています[5]。色を重ねたデザインでは、こうした反応が起こり得ることもあらかじめ知っておくことが大切です。
レーザー治療には、水ぶくれ、色素沈着、色素脱失、瘢痕(はんこん)といったリスクがゼロではありません。効果や経過、必要な回数には個人差があり、どなたにも同じ結果を保証できるものではありません。カラータトゥーは「完全に消える」と言い切れないことが多い、という前提で検討していただくのが安心です。
残る色・黒変のリスク
まとめ|受診の前に知っておきたいこと
カラータトゥー除去が難しいのは、色ごとに吸収する波長が異なり、緑・青・黄などの反応しにくい色が含まれることが多いためです。ピコレーザーをはじめとした複数の波長・機器を組み合わせることで対応の幅は広がりますが、それでも残りやすい色があり、完全な除去を保証できるものではありません。
日本では、強いレーザーで皮膚組織に作用させる行為は医行為に該当し得るため、実務上は医療機関で医師の診察のもとに行うことになります。色付きタトゥーの除去を考える際は、自己判断で進めず、まずは専門の医療機関に相談することをおすすめします。
どの色がどの程度薄くなりそうか、何回くらいの治療が見込まれるか、そして残存の可能性やリスクについては、一人ひとりで異なります。除去の可否や残存の見通しは、診察・カウンセリングで実際の状態を確認したうえでご相談ください。
よくある質問
なぜ赤や青、緑のカラータトゥーは除去が難しいのですか?
タトゥーの色素は、それぞれ吸収しやすいレーザーの波長が異なるためです[1]。黒は幅広い波長を吸収し扱いやすい一方、緑・青・黄などは適した波長が限られ、反応しにくい傾向があります[3][4]。そのため色に合わせて波長を変える必要があり、治療の難易度が上がりやすくなります。
ピコレーザーなら青や緑も消えますか?
波長755nmのピコ秒レーザーで、青や緑に良好な反応が得られたとする報告があります[2]。対応の幅は広がっていますが、一度で消えるわけではなく複数回の治療が前提です。反応の度合いには個人差があり、消え方を保証できるものではありません。
カラータトゥーは完全に消えますか?
完全な除去を保証することはできません。緑・青・黄などは治療を重ねても残ることがあり[3][4]、白や肌色を含む顔料はレーザーで黒変したり反応しにくいことも報告されています[5]。効果や経過、必要な回数には個人差があります。
レーザー除去に副作用やリスクはありますか?
水ぶくれ、色素沈着、色素脱失、瘢痕などのリスクがゼロではありません。また日本では強いレーザーで皮膚に作用させる行為は医行為に該当し得るため、医療機関での診察のもとに行うことになります。リスクや見通しは診察・カウンセリングでご確認ください。
参考文献・出典
- Anderson RR, Parrish JA. Selective Photothermolysis: Precise Microsurgery by Selective Absorption of Pulsed Radiation. Science 220(4596):524-527(1983) doi:10.1126/science.6836297
- Brauer JA, Reddy KK, Anolik R, Weiss ET, Karen JK, Hale EK, Brightman LA, Bernstein L, Geronemus RG. Successful and Rapid Treatment of Blue and Green Tattoo Pigment With a Novel Picosecond Laser. Archives of Dermatology 148(7):820-823(2012) doi:10.1001/archdermatol.2012.901
- Kent KM, Graber EM. Laser Tattoo Removal: A Review. Dermatologic Surgery 38(1):1-13(2012) doi:10.1111/j.1524-4725.2011.02187.x
- Hohman MH, Ramsey ML. Laser Tattoo Removal. StatPearls [Internet], StatPearls Publishing(2025)
- Ross EV, Yashar S, Michaud N, Fitzpatrick R, Geronemus R, Tope WD, Anderson RR. Tattoo Darkening and Nonresponse After Laser Treatment: A Possible Role for Titanium Dioxide. Archives of Dermatology 137(1):33-37(2001) doi:10.1001/archderm.137.1.33
※ 本ページは公開されている査読論文・公的資料をもとに、一般的な医学情報として作成しています。効果・経過には個人差があり、診断・適否の判断は医師の診察によります。
